【短】1人で泣くんじゃねぇよ


でも、美登はぶんぶんっと横に首を振って、もっと引っ張る手に力を込めて来る。



その、美登にしてかなり大胆な行動に、一度焼き切れてしまった理性は止らなくなってしまう…。


「そんなにされたら…止められなくなる、ぞ…?」

「シロちゃ…」



ちゅ…


リップ音だけが、二人の空間を切り取り、鳴り続ける。


結局、その時間は、永遠に続くんじゃないかというくらい、長くなった。



「なんか……わりぃ…。その、色々と押し付けた、な…」


「ううん。…私はシロちゃんの気持ちが分かって嬉しい…」



なんとなく、うっとりとした、嬉しそうな顔をしている美登に向けて、俺はニカッと笑い掛けてから、


「そっか…なら良かった…」


と、言って…。


「って、はっ?!な、なんだ、それ?!」


反省した後の態勢で、この反応はどうかとも思ったけれど、真正面から美登のことを見た。


「お前、何言ってっか分かってんのか?」

「?…うん。分かってるよ?」

「俺、お前のことが好きなんだぞ?」

「うん。今聞いたよ?」



…これじゃあ、話は平行線だ…。