【短】1人で泣くんじゃねぇよ


ちゅ、


小さな音を立てて、柔らかな口唇へともう一度キスを落とすと、ハッと我に返って、その場を取り繕うように、美登の髪をくしゃくしゃと撫でた。


なっ、…にやってんだ?!俺は?!
告白して、一方的に手ぇ出すとか…有り得ないだろ、普通に考えても!!

そう思って、バッと立ち上がる。
この際、熱くなる顔なんてどうでも良かった。
ただ、美登に拒否されたくなくて、美登の顔が見られなかっただけで…。


「ほ、ほら!サボってっと、数学のまっちゃんに怒られんぞ?!じゃなくても、お前数学苦手なんだし…」

そう言って、美登の手を引き上げようとすると、逆に引っ張られる。


「うぉっ!って、な、なんだよ?」

「シロちゃん…私のこと好きでいてくれたの?」

「お、おう……」



なんだ、これ。
公開処刑みたいになってっけど?!
てか、なんなんだよ、このシチュエーションは!



左腕に感じる美登の体温は、思っていた以上に温かくて、ガラにもなくドキドキと胸が高鳴る。


俺は、空いている方の右手で真っ赤に染まっているだろう顔を隠しつつ、


「ばか、離せ…」


と、小さく呟いた。