【短】1人で泣くんじゃねぇよ


「みーどーりー?」

「だって…」

「ったく。一人で泣くんじゃねぇって…」

「だって…だって、まどかちゃんが…」

「あー?まどか?あぁ…あのお前の好きな奴が好きな女子?」


そう聞くと、コクリと、一つ小さく頷いてから俯く美登。


これはただごとじゃない、と俺はどすんと美登の隣に座って、ぐっと手を掴んだ。


「なんて、言われた?」

「〜〜…」

「美登…?」

「し、シロちゃんと付き合ってんのか?って」

「は…?」

「でね、ううんって言ったらそれはおかしいよって」



女って怖えぇ。
なんだってそんなことを断言出来んだよ?
当事者でもあるまいし…。


「シロちゃんには、きっと好きな人がいるはずだから、いい加減解放してあげれば?って」


「なんで、そうなるんだよ?…そのまどかって奴、俺の何を知っててそんなこと言ってんだ?」



ふつふつと沸き上がる怒り。
それは、美登の親友の言葉っていうよりも、守ってやれない自分の不甲斐なさに対して…。