「ぐっ…ひっ…ひっく。」

…「桃子、此処にいたんだね。ほら、早く
  帰ろう。」

泣き止まない幼い私に声を掛けるのは同じく幼い兄だ

「お、兄ちゃん。私、お友達の怪我治した
 だけなのにっ!気持ち悪いって!」

兄「仕方ないだろ?普通の人間には持って
  ないものだもん。それに、いつまで
  泣いてるんだ?早く、帰るぞ。」

「ぐうっ!」

兄「分かったよ…今日は桃子の好きな
  オムライスにするようにしてあげる」

「えっ!良いの!?」

嬉しくなり、お兄ちゃんに飛びつく

兄「全く…桃子は単純だな~…。」

「ふん、ふん、ふふーん♪」

私はおんぶして貰い、兄の背中を見つめながら帰路についた

よく見るとお兄ちゃんの頬には痣が出来ており、腕も湿布などか貼ってあった

「お兄ちゃん…傷、痛いの?」

兄「ん~?ちょっとね。僕もお友達と喧嘩
  しちゃってね~。」

「お友達と喧嘩はダメだよ!」

兄「はは、そうだね。じゃあ今度会った時
  は仲直りしてくるよ。」

「私も…お友達に解って貰えるようにちゃ
 んと説明してみるよ!だって皆を助けら
 れる力だもん!」

兄「解ってくれる…か…。本当かな?」

「ん?何か言ったの?」

兄「いや?桃子は優しいねって言った
  んだよ。」

「えへへ。そう?」

おに、い…ちゃ、ん…

兄「優しい性格は桃子の良い所だ。」

お兄、ちゃん…

兄「例え皆が嫌ってもお兄ちゃんだけは
  桃子の事嫌いにならないからな。」

(お兄ちゃん!ごめんね、ごめんね!
 今度は私が助けてあげないと!)