甘桃と幻妖怪

外へ飛び出したのはいいがもう既に誰も
見当たらなかった

「はぁ、はぁ…。」

(折角、何か情報つかめるチャンスだった
 のに!)

諦めて帰ろうとしたその時だった

…「やぁ、お嬢さん。一体誰を探して
  いるんだい?」

後ろから優しく、飄々とした声が聞こえた

「…っ!」

私は慌てて札を取り出し、投げつける

しかし、札は呆気なく叩き落とされてしまった

…「暴力は良くないんじゃないかな?」

話し声の主は案の定あのフード男だ

「ようやく会えたわね…。」

…「そんな睨まないでくれ。ただ君に俺達
  の仲間に入って欲しかったんだ。」

ケラケラと笑う態度に私は憎悪が増す

「それでも、何の関係も無い人を巻き込む
 事はないだろ!それぐらい分かれ!」

…「ふ~ん、でも君の兄を預かっている
  って言ったら?」

「お兄、ちゃん…?」

私は兄というワードに背筋が凍った

「あんた、お兄ちゃんに酷い事したの!?
 そしたらただでは済まさないよ!」

…「悪いようにはしないさ。君が大人しく
  着いてきてくれたらの話だけどね?」

「……。」

…「ん~、やっぱりダメかー。そしたら
  そうだね。もう少し猶予を君にあげる
  だから考えて欲しいんだ。」

「猶予、を?」

…「そう!良い返事が欲しいからね。勿論
  その間は君たちに危害を加えないこと
  も約束するさ。」

ゆっくりと私に近づき、目の前で止まった

私は体を強張らせたが何故か頭を撫でて
来たのだ

…「君に俺達の仲間に入って欲しいのは
  本当だ。
  出来たら…入ってくれないか?」

余りにも優しい声や行動に戸惑うもその
手を振り払う

「誰があんたなんかに…!」

…「そう…。じゃあ1つだけ忠告。」

私の耳元でソレは囁く












…「本当に災厄を巻き込んでいるのは

  ダレだろうね?」