…「百香様、何か気持ち悪くなったような
  気がします…。」

百香「おのれ…毒か?」

…「ぐがああっ!ぐ、びがっ!」

突然1人が苦しそうに藻掻き始めた

…「おい、どうした!?」

…「やめろっ…離せ、離してくれーっ!」

…「なんだ、これは?まるで何かに首を
  締め付けられたようだぞ。」

すると今度は違う方向から悲鳴が聞こえた

…「ひいーっ!た、助けてくれ!」

百香「今度は何ですか!」

…「あ、あいつが。何かに足を巻き取られ
  て何処かに引きずられてったんで。」

百香「次から次へと…。」




「っ…けほっ、けほっ!一体何が…?」

辺りは霧で包まれ、何も見えない

「りょ、すけ。瞭祐は、無事?」

見えにくい靄の中おぼつかない足取りで
前に進んでいく

人影が見えてきたので駆け寄る 

「瞭祐、無事だった?…て、あれ?」

そこにいたのは確かに瞭祐だったが、まるで別人のような人だった

瞭祐「俺は平気だ。それより下がってな。
   怪我するぞ?」

瞭祐の顔が半分鱗のような物で覆われており、瞳は黄色く鋭い目つきへと変化していたのだ

「よ、妖怪?」

(知っている…。蛇のような竜のような見た目でもある。螭…?)

昔よく、じいちゃんに教えて貰っていた
妖怪

何故覚えていたのかは分からないが、
恐らく珍しい妖怪だったからだろう…

すると辺りの霧はすっきりと晴れていった

秋真「ま~ったく、何だこの様はよ?
   やっぱりお前1人にするんじゃあ
   なかったな…。」

百香「…うるさいです。それより其方の
   仕事は片付いたんですか?」

秋真「あっちは俺がいなくても片付きそう
   だったから任せてきた。」

百香「……。私が信用出来ないんで?」

秋真「まぁ~お前さん、この件については
   危なっかしくなるから心配だな。」

(秋真も…。よりにもよって厄介な相手
 が助っ人に。)

秋真「それに毒を大分吸っちまったらしい
   少し休め。」

百香「この位、平気です…。」

秋真「螭の毒をなめたらいけねー。
   なぁ?瞭祐殿よ?」

瞭祐「さぁな…。」

秋真「それに、あんたとはお手合わせして
   みたかったんだ。」

秋真は懐から刀を取り出した

秋真「これを使え。」

投げられた刀を瞭祐は無言で受け取り、
同じように構えた

そして激しい戦闘が始まる