辿り着いたのは大きい倉庫のような所だった

「まさか…行き止まり?」

瞭祐「いや、ちゃんと出口はある。」

そう言うと瞭祐は辺りを調べ回す

(しかし、不気味。ここまで来て追っ手が
 来ないなんて…。)

私は嫌な予感がしつつも無事に脱出出来る
ことを祈った

瞭祐「開いた。」

ほっと安心したのも束の間

開いてきた扉の向こう側から大勢の敵が
出現してきたのだ…

百香「どうやらここで終わりですね。
   言ったでしょ?借りは返すって。」

瞭祐「そんな事言ったってこいつを引き取
   った時点で元々潰すつもりだった
   んだろ?」

百香「全く馬鹿な人ですね…。その人間に
   関してだけは“あの方”はデリケート
   なものなのです。余計な事をしな
   ければ済んだものを…。」

瞭祐「ははっ、それで俺はどうするつもり
   だ?首でも持っていくか?」

百香「いえ…貴方も連れて行きますよ。
   “あの方”からの命令です。」

瞭祐「そうかよ…。それは聞けない命令
   だなっ!」

突然瞭祐は私の腕を引くと銃を取り出し
発砲していく

…「がぁぁっ!」

次々に倒れていく敵

瞭祐「おい、走れるか?」

「うん、大丈夫。」

私達は隣に繋がっている倉庫へと逃げて
いった

百香「無駄な足掻きはするものではない
   のです。追いかけますよ!」

隣の倉庫へと移ると出口を探しつつ、物陰
に隠れる

瞭祐「…っ!」

「瞭祐、怪我してるよ!少し休んだ方が
 いいんじゃ…。私が探すから!」

瞭祐「いい…ここで隠れてろ。」

「そんな事言ったって、私だって役に…」

瞭祐「別に役に立たなくてもいいんだ。
   お前が危ない目に合う方が嫌だ…」

「何で…何で瞭祐は私を助けるの!?
 私は赤の他人なんだよ?そんな人を助け
 ようなんて…おかしいもの…。」

半分怒りをぶつけるような私の言葉に
瞭祐は黙り込む

「もっと…自分の命を大切にして?」

その言葉に瞭祐は目を見開く

瞭祐「…確かに俺とお前は他人だ。全然
   知り合いでもましてや家族でも
   ない。ただ…。」

瞭祐はゆっくり立ち上がると、物陰から
出ていく

瞭祐「俺はずっと前からお前の事を知って
   いて助けてあげたかったんだ…。
   気持ち悪い話だが、理由はまだ話す
   事は出来ねぇ。」

「私を知って…助けたかった?」

瞭祐「あぁ、そうだ…これだけは教えて
   やる。俺はお前の母親の事は知って
   いるんだ。詳しい事は…まぁ、また
   今度話してやるさ。」

「お母さん!?」

余りにも衝撃的な情報に私の処理は追いつけず、呆然としてしまう

瞭祐「それよりまずはこの決着を付けねー
   とな…。」

瞭祐の前に立ちはだかる多勢の敵

百香「雑談はそこまでです。いい加減大人
   しく連行されて下さい。」

百香は瞭祐に銃口を向ける

瞭祐「何度も言うがそれは聞けねー。」

瞭祐は爆弾を地面に投げつける

途端に辺りは水柱が立ち、霧のようなものが散布する

…「ぐっ…ゴホ。
  百香さん、何も見えません!」

百香「ちっ!奴を探せ!注意して下さい」