甘桃と幻妖怪

かつて緑に覆われていた森林は赤い炎に
包まれていく

男1「醜い妖怪共を追い出せ!
  森を焼き払うんだ!早くしろ!」

男2「くっ…!小癪な、
   もっと火を起こせ!」

…「グルル!ガァァーーッ!!」

突然人間は妖怪が多く住む森を襲って来た
のだ

いくら妖怪といえど急な襲撃だったので
圧されてしまっていた

…「くっ…あぁ!!」

キョウヤ「おい!しっかりしろ!」

男1「おい、あそこにいるのは九狐じゃ
   ねぇか?やっちまえ!」

人間達はキョウヤに一斉に襲いかかる

しかし、襲われる事なく一瞬で炎に包まれてしまった

キョウヤ「奥で手当てして貰え!」

…「無…理、だ。術で…遮られ、て。
  すま、ね…。」

キョウヤ「くそっ…!」

キョウヤは走り出し襲いかかる人間達に
次々と攻撃していった

キョウヤ「頭はどいつだ?見つけて…。」

蒼葉「キョウ、止めな!もうこれ以外は
   無駄だ!早く奥へ逃げな…。」

キョウヤ
  「何言ってるんだ!森がなくなって
   人間に支配されるぞ!」

蒼葉「もういい…あの人も、もうこれ以上
   はって…。」

キョウヤ「っ!…んだよ…。」

怒りと悲しみで握りしめた手に爪が傷つけ
血を流す

蒼葉は解けた髪をそのままに俯き、背を向け去って行く

奥へと戻ると皆、不安や恐怖の顔を浮かべていた

暫くするとボロボロになった瞭祐が戻って
きたのだ

蒼葉「瞭祐、どうしたんだいその傷!」

瞭祐「………。」

蒼葉「こっち来て手当てを…。」

蒼葉が近いた瞬間、刃を向けてきた

瞭祐「うるせぇ…少し黙ってろ…。」

蒼葉「……。」

瞭祐はすぐに何処へと消え去っていく

蒼葉(あれは…ただ事じゃあないね。)

…「スマン!ここに瞭祐が来なかったか?

蒼葉「あ、誠一さん。来ましたけど何か」

誠一「言いにくい事だが…隠し通せはしな
   いな…。
   
   

   先生…あの人がたった今殺されて
   しまったのだ…。」

妖怪達はザワつき、焦り始めた

キョウヤ「なっ、一体どういう事だ!」

誠一「私がついていながらすまない!
   もう少し早ければ…。」

キョウヤ
  「誰だよ!術者か!そうなんだろ!
   ふざけるな!同じ人間なんじゃ
   ないのか…?」

…「先生が…ううっ。」

…「許さねぇ…くそっ!」

誠一「キョウヤも皆も落ち着いてくれ。
   此処らも直人間に襲撃されてしまう
   その前に逃げるんだ。」

キョウヤ
  「逃げる?はっ!そんな事してらん
   ないね。俺1人でも人間やってやる
   よ…。」

そう言うキョウヤの頬を蒼葉が叩く

キョウヤ「は?てめぇ…。」

蒼葉「バカ!まずは生きる事が先だ!
   勝手に死ぬんじゃないよ!死んでっ
   た奴らの命を無駄にする気か?」

誠一「その通りだ…出来れば争わず、生き
   伸びてくれ。最後に先生もそう
   仰っていた。皆、こっちだ!」

妖怪達はどんどん森の奥へと走っていく

その光景を眺めながらキョウヤはゆっくり
一歩ずつ進んでいった

キョウヤ「先生…っ、あああ!!」

周りに誰もいない森の中、苦痛に泣き叫ぶ
キョウヤの声が木霊した