勇吾「先生、いいんですか?勝手に休ん
   じゃって?」

キョウヤ
 「ああー、いいんだどうせ。あのオヤジ
  基本的に雑用しか任せないから俺が
  いなくったってやってけるんだ。」

敬幸「っていう勇吾も無断欠席って事
   忘れるなよ?」

勇吾「学校行ってもあの女(杏奈)いるか
   らうぜーしよ…。
   そういう敬幸だって平日なのに。」

敬幸「残念だったな。俺はちゃんと今日は
   有給使って来たからな。」

その頃の3人は、とある場所へと向かって
いたのだ

敬幸「それよりもそいつの情報…信用
   出来るのか?」

キョウヤ
  「信用は出来るんだがな~。少し問題
   が…。」

キョウヤは苦い顔で言葉を濁す

キョウヤ
  「確か此処らだった…あぁ!」

キョウヤが指を指した建物は一見バーの
ようなものだった

敬幸「おい!俺らは飲みに来た訳じゃねー
   んだぞ?真面目にやれや!」

キョウヤ
  「バッカ、だから此処だって!」

キョウヤは焦りながらお店に足を踏み入る

…「店はまだ開いてないんだ。悪いけど
  暗くなってから来ておくれ。」

キョウヤ
 「俺だ、俺。それとも開いてから来た
  方がいいか?」

…「おや?久しい顔じゃないか。いいよ、
  入りな。」

お店の中へ入ると、ママさんらしき女の人
がタバコをふかしながら何やら準備をしていた

…「すまないねぇ。準備中だからこんな物
  しか出せないけど…。」

そう言いつつ、出してきたのは梅酒だった

敬幸「いや…ガッツリ酒じゃねぇかよ。」

…「あら?お酒はダメだったかい?」

勇吾「まーまーいいじゃんか。」

勇吾は涼しい顔で飲み干していく

…「あんた達はキョウヤの知り合い?」

敬幸「あーまぁ、そんな所だ。」

キョウヤ
  「あっちの茶髪が勇吾って奴で
   今、話してたのが鳥…。」

敬幸「敬幸だ!余計な事言うんじゃねえ」

…「ふふっ…そうかい。
  私は蒼葉<あおば>。バーも経営して
  いるが、情報屋でもある。」

そう言った蒼葉は柔らかい笑顔を向けた

キョウヤ
  「それで本題に入るが…お前に相談し
   たい事がある。」

蒼葉「何だい?聞くだけならタダだから
   いいわよ。」

キョウヤ
  「術が使える人間について何か事件
   無いか?」

蒼葉「へぇー…それを知ってどうする
   んだい?」

キョウヤ
  「術者の…桃子が突然いなくなって
   今探しているんだ。それに…」

敬幸「どうやら数日前に桃子と接触してた
   男が怪しいんだ。」

蒼葉「術者、ねぇ…。」

蒼葉は暫く俯き、考え込んでいたが

蒼葉「しかしねぇ…キョウヤがそこまで
   人間に入れ込むなんて珍しいんじゃ
   ないかい?
   どうしてそこまでして助けたいんだ
   そちらさんもそうだ。
   烏天狗に…鎌鼬かい?」

敬幸「は!?」

勇吾「!!」

見事に正体を見破られた2人は驚き、固まっていた

蒼葉「悪い事は言わないよ。人間なんて、
   しかも術者だろう?
   これ以上手助けはやめな。利用され
   てお終いだ。」

敬幸「あんた、情報屋じゃなかったのか?
   こっちの事情はどうでもいいだろ。
   教えろって言ったんだから、教える
   んじゃないのか?」

勇吾「どうしても教えないって言うなら…
   無理矢理はいて貰う。」

蒼葉「あんたはどうなんだい…キョウ。」

キョウヤ
  「いいぜ?話さなくったって。俺達で
   探すだけだからな…。捕まったら
   取り返しに行くだけだ。」

蒼葉「……っ、あははは!」

突然、蒼葉は笑い始めたのだ

蒼葉「止めるって選択はないのかい?
   あんたらは相当その人間が大切なん
   だね~。珍しい事もあるもんだ。」

キョウヤ「まぁな……。」

蒼葉「教えてやるさ。丁度術者絡みの情報
   が出回っていてビックリしたよ。」

ペラペラと資料のような物をめくっていく

蒼葉「あ!キョウヤに伝えとかないといけ
   無いことが…。」

そう言う蒼葉の言葉を遮る者が店に入って
いく

…「蒼葉様~!おっまたせしました~!
  頼まれた物買って来ましたよ!」