もう此処に来てから2,3日ぐらい経ってる
のかな…

(流石に皆もう異変に気づいてるか。)

コツ…コツ…

(おっと、誰か来る。)

ふと前を見上げる

「は!?嘘でしょ?」

“あの方”の仲間…秋真と百香がいたのだ

大きな声が出てしまったようで向こうが
此方に気づいてしまった

(ヤバイ…早く逃げないと!)

百香「ん?あの女…怪しい。待て!」

秋真「おい、百香あまりうろつくな!
   …ったくよー。」

後ろで声がしてきたが私は構わず逃げる

が、百香が後を付いてきてしまった

(嫌…捕まってたまるものか!)

怒りと恐怖で心臓がドクドクと激しく鳴る

全力疾走なのにも関わらず、百香は距離を
縮めていく

いつこの肩が摑まれるのだろうか
そう思い覚悟していたが…

突然目の前が暗くなっていたのだ

(え?どういう…。)

瞭祐「捕まりたくなかったら大人しく
   してな。」

上着を私に被せて自分の方へと抱き寄せて
きた瞭祐だった

少し緊張するがやむを得ない…

(た、助かった…。)

百香「おい、そこにいる女を見せて
   貰おうか。」

瞭祐「あぁ?見てどうするつもりだ?
   こいつは俺の女でね。今しがた
   話していたんだが…。」

百香「霊力の強い術者の少女と似ていた
   んだ。まさか…貴方、あの女を隠し
   ていたら唯では済まさないぞ。
   さぁ、早く見せろ!」

秋真「やれやれ…。百香、何してんだ?
   ってあれ?これはこれは、瞭祐殿。
   今日はいたのか。」

瞭祐「おう…、秋真。丁度いいところに。
   こいつを何とかしてくれないか?
   彼女と仲良くしてたのによ、
   邪魔をしてきてな。」

百香「なっ…!違う、秋真!此奴ら怪しい
   んだ!その女があの少女だった場合
   ただ事ではないんだ。」

秋真「ふーん、そうか…。それは野暮った
   い事してスマンかったな。百香、
   早く帰るぞ。」

百香「待て待て!その女を確かめないと
   気が住まない。何もやましい事が
   ないなら、見せられるはずでは?」

瞭祐「しつこい奴だ…。恥ずかしがり屋の
   こいつは顔をあまり見せたくない
   んだとよ。それに仕事相手のトップ
   にそんな口の利き方はねぇだろ?」

百香「くっ……。」

瞭祐「プライベートな事はあまり聞くもん
   じゃない。まぁ、お前の大将の頼み
   なら聞いてやらん事もないが…。
   また出直してくることだな、
   人形さんよー?」

百香「貴様…そんな大口叩いていられる
   のも今の内だぞ?後で後悔する事に
   なっても知らないからな…。」

秋真「は~ぁ…。じゃあまたな瞭祐。」

どうやら大人しく去って行ったようだ

(ふぅ…良かった。まさに危機一髪。)

暫く安堵していると…

「ありがたいけどさ…そろそろ離して
 くれない?」

瞭祐「…やだ。」

「いやいや!苦しいし、もう居ないから
 いいんじゃないかな?」

今は違う意味で心臓の音がうるさく響く

瞭祐「なんだぁ?本当に恥ずかしがり屋
   なのか?」

上着の隙間から瞭祐のニヤリと笑う顔が
見えてくる

「な、な、そ、そんな訳ないじゃん!
 べ、別に照れとかそういうんじゃない!
 てか、俺の女とか…バカじゃない?」

瞭祐「あー、そうだったな、嘘は良くない
   な。
   だったら本当に彼女になるか?」

「何でそうなるのーーー!!」

P.S.鳳馬、多分家よりこの男の近くの方が
  危ないと思います