すっかり鳳馬とは仲良くなり、帰りも
楽しく会話を弾ませていた

鳳馬「周りは男だらけだから、桃子ちゃん
   が来てくれて嬉しいわ。」

「私も!家でも女1人だからさ。」

鳳馬「それは大変ね…。親御さんも心配
   すると思うけど、その辺については
   私達の方で連絡するから。」

「え、大丈夫だよ!連絡しなくても。」

鳳馬「でも大切な娘が突然いなくなったら
   心配するでしょ?」

「いゃ~あ、アハハ…。」
(これで連絡でもしたらキョウちゃんが
 暴れ回るに違いない!どう誤魔化そう)

鳳馬「とにかく連絡するから。」

「連絡はダメ!しないで!」

鳳馬「何か隠してるわね…。
   理由を聞かせてくれないかしら?」

「え~っと…ダメっていうか…。」
(言ったら絶対怪しむでしょ!)

血が繋がってない人と暮らしているなんて
奇妙な話である

鳳馬「仕方ないわね。これは引き渡し
   かしらね?」

「話します…。」

引き渡されるよりは話した方がましなので
私は話す事にした

(だって鳳馬の笑顔凄く怖いんだもん…)

私も出来れば話したくなかったがなんとか
事実をねじ曲げながら話した

鳳馬「え?親戚のおじさんとその友達に、
   お隣の同級生!?
   一緒に暮らしてるの全員男!」

(うわー、やっぱりこういう反応か…。)

鳳馬「貴方やっぱりこっちで生活してた
   方が良いわよ!大変じゃない。」

「でも…一応親戚だから家族ではあるし」

鳳馬「はぁ…、桃子ちゃんはもう少し自覚
   した方が良いわよ…。」

車から降り、建物に入るまで懇々と説教
をされ続ける

来稀「あ、鳳馬!どこ行ってたんだよ!
   瞭祐さん呼んでたぞ。」

鳳馬「あら、そう。じゃあ桃子ちゃん、
   この事は報告させて貰うわよ?」

(あぁー!そんなー!)

来稀「さぁ、もたもたしてないで早く部屋
   に戻るッス!」

「え?何で急に…。」

来稀「今日の仕事相手は“あの方”達の団体
   なんだ。捕まりたいっすか?」

「…っ!な…んで?」

来稀「仕方ないっすよー。ここ最近仕事で
   入り浸ってるんだからな。」

「それを早く言ってよ!早く行こ!」

私は来稀の腕を掴み、部屋へとダッシュ
していった

「はぁーこれでバレない…。」

来稀「ちょっ…あ、んた…どんなっ、
   体力、してるんすかっ!」

「あーごめんなさいー…。」

私は無我夢中で走ったので全力疾走だった
来稀は肩で息をしている

来稀「瞭祐さんの命令ッス。ここで暫く
   監視させて貰うっすよ。」

「そんな事しなくても、私は逃げないよ。
 絶対に引き渡されたくないから、
 大人しくしてるもん…。」

来稀「さぁ、どうっすかね?それだけの
   馬鹿力あれば逃げられそうっす
   けど?」

「そうだね、貴方を殴れたしね…。」

来稀「あー、あれちょー痛かったんす
   から!」

「だから私も謝ったじゃない!
 …本当にごめんなさい…。」

来稀「…俺も言い過ぎたっす。俺、いつも
   一言多いって皆から注意されるから
   直すよう努力はしてるっすけど…」

「人なんてみんな欠点だらけだよ。
 まーそう言う性格なら仕方ないのかも」

来稀(あれ?こいつ昨日とやけに態度が
   違うな…。)

「でも自分の短所直そうと努力するのは
 良い事だと思うよ。」
(どっかのイタチ妖怪と違ってね。)

来稀「…。あはは!そんな事言われるの
   初めてっすよ!面白い人だな!」

「え?そ、そう?」

来稀「あの瞭祐さんが気に入る訳だ!」

「え?気に入る…。って?」

来稀が大笑いしている横で私は困惑する

(前の生活とあまり変わらない気
 がする…。)