…「その前にちょっと寄りてぇ所がある
  んだが、いいか?」

「うん、いいよ。」

私達は車で移動していた

こんな光景、はたから見れば知らない人に
着いていく私はとんだ大バカだろう

…「まぁ、そう焦るなよ。
  出来ればゆっくり話したいだろ?」

「あ、ごめん…。」

(私ったら急かしい人に見えたのか…。)

私は恥ずかしさで顔が熱くなる

男の方をみると、面白そうに笑みを浮かべて此方を見ていた

「ちょっと、人の顔見て笑うとか
 失礼じゃない?」

…「あぁ…すまん。つい面白くてな。」

「はぁ~?面白いって何さ!」

…「怒るなよ。女は笑ってるくらいが
  ちょうどいいんだ。」

「笑っ!…」

(こいつ、よくこんなクサい台詞
 清々しく言えるな…。)

…「さて、着いたから少し待ってろ。」

どうやら何処かに着いたようだが、
辺りは暗かったのでよく分からなかった

30分くらいたった頃だ…

外から何やら騒がしい声がしてきたのだ

(何かあるのかな…。)

よく目を凝らすと男と一緒に綺麗な
スタイル抜群の女の人が此方に向かってくる

女の人
 「ちょっとリョウ君!私と一緒に
  住んでくれるって言ったじゃない!」

…「知らねぇな…。俺は誰かと一緒になる
  予定はまだ無いんだ。他の仕事が
  片付かないんでね。」

女の人
 「嘘…!他に彼女が出来たんでしょ!」

(うわ~…こんな話本当にあるんだ…。)

…「とにかくこの話はもう終わりだ。」

女の人「ちょっ!待ちなさいよ!」

男、リョウ君は車に乗ろうとドアに手を付ける

その時、女の人は私を見ると驚きで目を丸くしていた

女の人
 「まさか…、こんな子供にのりかえた
  わけ?こんな貧相な子に…。」

(はぁ?何この人、失礼な!)

どうやら私が新しい彼女だと思ってるようだ

リョウは無言で車に乗り込んできた

女の人「私、絶対に諦めないからね!」

そう言い残すと女の人は去って行った

私達もそのまま出発していった

「ねぇ…何あの失れ…女の人は?」

リョウ「俺の客人だ。どうやら店の前で
    待ち構えていたらしいな…。」

「客人、店って…。」

リョウ「ホストだよ。まぁ、ああ言うのは
    日常茶飯事だ。」

(わぁ…すっごい大人な世界…。
 ん?待てよ。あんな台詞言えるのって
 仕事柄って事なのか?
 なんて恐ろしい妖艶オーラなの!)

私は久しぶりに悪寒が走ったような気がした

「何か勘違いしてるみたいだから後で
 説明したら?」

リョウ「面倒くせぇな…。」

何となく今更だが引き返したくなって
きてしまった

しかしそれを遮断するように

リョウ「さぁ、今度こそ着いたぞ。」

どこか大きい建物に着いたようだ

私は覚悟を決め、男に付いて中に入った