ピンポーン

勇吾「はーい。どちら様ですか?
   …お帰り下さい~。」

勇吾は玄関のドアを閉めていく

しかし私は足で固定する

「ここは私の家なんですけど?
 ていうかあんたこそ出ていきなよ!」

勇吾「まぁまぁ落ち着けよ。今度から俺も
   この家に住み着くことになったから
   1人ずつ追い出して…。」

敬幸「いいから入れさせろ!もうヘトヘト
   なんだよ。」

勇吾「敬幸は野宿でもしてろ。」

敬幸「ふざけんな!お前が出てけ!」

「もういいよ、トシ早く行こ。」

私はトシの腕を引っ張り、中に入っていく

キョウヤ
  「おう、お帰り。こんな遅くなるなら
   連絡ぐらいよこせよ。」

「キョウちゃん、何であいつを入れさせて
 るの!追い返してって言ったじゃん。」

キョウヤ
  「良いじゃねぇか。ほれ、差し入れも
   貰ったことだし。」

差し入れの中にキョウちゃんの大好物の
お酒も入っていた

勇吾「というわけだ。」

勇吾がどや顔でこちらを見てくる

「要するに物で釣っただけじゃん…。」

(勇吾に至っては自分の家ほぼ使って
 無いし…。)

敬幸「てか、明日も仕事だろ?
   今日飲んで大丈夫なのかよ…。」

キョウヤ
  「お前らお子ちゃまと違って俺は全然
   酔わないからな。」

敬幸「おい、聞き捨てならねぇな?
   誰がお子ちゃまだって?俺だって
   酒の1本や2本で酔わねぇし!」

「ちょっと2人共!本当に潰れるまで飲ま
 ないでね?明日起きれなくなっても
 知らないから。」

勇吾「あ、俺も入れて下さい。」

「勇吾まで…。てか、あんたはまだ
 未成年ですよね!?」

勇吾「何言ってるんだ。人間の計算上で
   あって妖怪の方ではもう成人
   してるぞ?」

(はぁー…。この飲んべえ妖怪共が…。)

夕飯時…
キョウヤと敬幸は勝負でお酒をガバガバと
開けていき、勇吾はその光景をつまみのようにチビチビとお酒を飲んでいる

(もういっそこの3人ごと家から
 追い出そうかな…。)

私は白い目で見つめていた

数時間後

勝負をしていた2人はそれぞれトイレに
駆け込んでいく

(それ見たことか。)

しかし、勇吾もそれなりにお酒を2,3本開けていたはずなのに顔色が全然変わっていな
かった

「勇吾平気なの?お酒強いんだ。」

勇吾「あぁ。俺はあのおっさん達と違って
   若いからな。実は俺、酒豪のイタチ
   って呼ばれて…うぇっぷ…。」

勇吾は突然気持ち悪そうにうずくまった

「へぇ~?酒豪のイタチねぇ~?」

勇吾「まさか!あいつらいつの間に毒を
   盛っていたんだ…。」

「飲みすぎて気持ち悪くなっただけ
 でしょうが!ったく、バカだな~…。」

私はキッチンから3個分の水の入ったコップを持ってきて、袋を勇吾に渡した

勇吾「やけに優しいじゃねぇか…。」

「だってこんな所で吐かれたら
 たまったもんじゃないもん。」

勇吾「……あっそ。」

「それにしてもどんなお酒…。」

私はお酒のビンを手に取り、じっくり眺める

「はぁ~?度数64度!?
 そりゃ気持ち悪くなるよ!」

勇吾「え?それだったら俺いつも飲んでる
   度数だぞ?」

(妖怪、恐るべし…。)

「あ!もしかして人間の姿だからって
 いうの関係あるかもよ?」

勇吾「何言ってんだ。そんなわけ…あ。」

そこへ2人が戻って来た

キョウヤ
  「一体…どうなってんだ…?」

敬幸「この位の酒…いつも飲んでも
   平気なはずなのに…。」

「人間だから弱くなってるんじゃない?」

キョウヤ「まじか!」

敬幸「クソっ!うっ…気持ち悪っ…。」

「はい、お水。これからは妖怪姿で
 飲んだら?」

水を飲み始めたら少し落ち着いたようだ

(妖怪と人間で姿が変わるとこんなにも
 変化があるのか…。)

まだまだ私にも知らない事が沢山あるものだ

もっと勉強しようと思った私であった