暁継「ふっふっ…、残念だったな。」

喜んでいたが次の光景に目を丸くした

赤松「ぎっ…ギャアァァー!!」

何と赤松の腕が落ちていたのだ

敬幸「赤松…、お前も相変わらずだな。
   もう少し学習出来ねぇのか?」

(また何か…力を吸い取られて…。)

近くにいた私は倒れそうになるが、
トシに支えられた

敬幸「おっ…と。大丈夫か?
   すまねぇな。緊急事態とはいえ。」

「うん、大丈夫。ありがと…。」

毎度の事なら私は皆の変化に呆気を取られる

敬幸は大きい漆黒の翼を生やしている
紺青色の瞳はみるもの全てを凍りつかせるようであった

敬幸は視線を桃子から暁継へと変える

敬幸「次はテメェだ。その首を取らせて
   貰うからな。」

暁継「過剰な自信だな。たかが鳥ごときに
   この鬼が勝てると思うか?」

敬幸「あぁ、勝てるね。」

刀を構え、暁継に斬りつけていく

暁継「ガアァァーッ!!」

暁継はあちこちを切られている

暁継(まさか、ここまでの力とは…。)

敬幸「次は首だな。覚悟しろ!」

敬幸は暁継の首元一直線に刀を降る

首が落ちていく

(やった…のかな…。)

暁継「……ふふふ、すごい。
   これは凄いぞ!!」

なんと暁継は首が無くなっても話しているのだ

敬幸「なっ!!」

暁継「あやつもやりおるわい…。
   儂はある奴からこの力を授けて
   貰ってな。凄い能力だと
   思わんか?」

(この能力も“あの方”が持っていると
 言うの?)

敬幸「何て恐ろしい野郎だ…。
   不死身かよ。」

流石のトシも焦り出している

それもそうだ、首が切り離せても生きているのだから

普通妖怪でも生きていられない

暁継は首を拾い上げ、直している

暁継「この能力をもっと味わいたいのでね
   もう少し遊んでやろう。」

敬幸「くっ…!」

敬幸は再び体のあちこちを斬りつけていくが再生されていくばかり

暁継「何だ、もう終わりか?」

いくら契約したとはいえ、トシは元々怪我
をしていたので体力の限界なのだろう

暁継「つまらんな。さて、終わりだな。」

そう言い暁継はみるみるうちに黒い大きな
烏へと変貌していく

敬幸「お前…その姿は何だ…?」

暁継「これか?あぁ、そうだ。あの時に
   烏天狗共の力を残らず飲み込んだ
   からか、この姿に変われるのだ。」

烏に変わった暁継はニヤリと笑う

敬幸「暁、継…お前、よくもっ!
   兄貴をっ!うぁぁーー!!」

敬幸は怒りに任せ、暁継に攻撃する

「トシー!ダメっ!!」

(どうしよう。このままじゃ勇吾と同じ
 ようになっちゃう!どうすれば…。
 結局私は何も役に立てない。)

…「大丈夫よ、貴方なら出来るわ。
  胸に力を込めてみなさい。さぁ早く」

突然声が聞こえてきたのだ

(誰!?でも、やってみるしかない!)

私はその人の言うとおりにしてみる

(トシ、お願い止まって!)

敬幸「……っ!!」

敬幸は突然倒れ、金縛りにあったように
動かなくなった

敬幸(何だ?あいつの力でせき止められて
   いるのか!?なんて能力だ。)

暁継「ちっ!小娘、余計な事をしおって」

「トシ…。一旦落ち着いて。
 何か策があるはず。」

敬幸「わ、悪かった。でもどうすれば。」

(どうしようか…。)

敬幸「どこかに弱点はあるかもな…。
   だが見つからねぇ。」

(弱点ね…。)

私達が考えているとまたもや声が聞こえてくる

…「黒い点…見つけなさい。
  どんな時も落ち着いて。
  そしてどうか無事でいてね…。」

「貴方はっ、貴方は誰ですか?」

しかしもう聞こえてこない

敬幸「お前…誰と話してるんだ?」

「トシには聞こえてないの?」

トシはハテナを浮かべている

「それより私、弱点分かったかも
 しれない。」

敬幸「本当か!何処なんだ?」

私は暁継の方を見る

(どこ?黒い点…。あった!)

ちょうど心臓の辺りから黒い妖気が
漏れてきているようだ

私は素早く弓を構え、矢をうった

暁継(やはりあの娘で間違いない。
   力の急所を狙ってくるとは…。)

暁継「ガハハ、でももう遅いわ!
   このまま連れてってくれるわ!」

暁継は私を咥えていくとそのまま上昇
していく

敬幸「待て、暁継!!」

トシも慌てて追いかけてくるが
どんどん離れていく

暁継「もうよい、この娘を奴の所まで
   連れて行く。」

「離せ!!」

私は必死に抵抗するがビクリともしない

(こうなったら…。)

急いでお札を矢に刺し暁継の太もも
部分に思いっきり突き刺した

暁継「うがぁぁ!!この小娘が!」

暁継は痛がり、私を放り投げる

暁継「くそっ!少し痛い目を見た方が…」

「出来るものならやってみな?」

私はそのまま心臓に目掛けて矢を放つ

その矢はブスリと刺さっていった

暁継「ガアァァーッ!!」

暁継は鬼に戻り、地面に落ちていく