私達は進んでいくが中々トシが見つからない

しばらく走っているので息が苦しい

勇吾「おい…全然見つからねーけど。」

「途中で見失なっちゃったから…。」

勇吾「……。」

「あっ、でもほら、妖気を少しは感じ
 取れるからそれをたどっていけば。」

勇吾「そうだな…。」

「しょうがないじゃん!鬼達に襲われ
 ちゃったんだからさ…。」

勇吾「いいから集中しろ。」

「…、段々と濃くなってる!
 近くなってきてるかも!」

微かだが音が聞こえてくる
それも刀が交わる音

(トシ、どうか無事でいて!)

…「お前はもう何も守れない…。
  諦めてあの雪女、琴葉の元へいけ。
  敬幸よ。」

(この声は…?トシが近くにいる!
 琴葉ってまさか…。)

勇吾の方を見ると動きが固まっている

私は会話が気になり近くに寄っていく

数歩あるいた先には…
トシが血だらけで膝をつき、明らかに
妖気が濃い大きい鬼が立っていた

(なにこの強い妖気…。濃すぎて苦しい)

…「!誰だ、そこにいるのは!」

鬼は私に向かって黒い妖気を放つ

しかしそれをいつの間にかいた勇吾が鎌で
弾き返す

…「お前達も敬幸の仲間か?」

敬幸「ゆ、勇吾…?」

勇吾「あいつと一緒にするんじゃねぇ。
   だがどうやら敵のようだからな、
   刈り取ってやる。」

…「はて?お前さん達、見た覚えがある
  連中だな…。」

鬼は考えこみ、どうやら思い出したようで

…「そうか!お主の顔よく見ればあの雪女
  の面影があるではないか。
  確か…雪女の弟だったな。」

勇吾「テメェ…、何で知ってるんだ。」

…「教えてやろう。儂は鬼族の長、暁継
  だ。お主の姉の婿になる予定だった
  者の父親である。」

勇吾「姉上を追い詰めたバカ息子の父親
   って訳か…。
   じゃあ尚更切らねぇわけには
   いかないな。
   そこにいる烏共々始末する。
   姉上、両親の仇を討たせて貰う。」

…「へぇー、それは残念だなー。
  あの雪女もういないのか。父上、
  さっさと終わらせちゃいましょう。」

次に聞こえてきた声の主を見るなり、
勇吾は鎌で斬りつける

しかし、遮られてしまう

…「何をそんなに怒っているんだ?」

勇吾「お前も始末しなきゃな?バカ息子」

赤松「はは。そんなに怒るなよ。俺は
   お義兄様だったんだからさ?」

勇吾「気持ち悪い。早く消えろ。」

赤松「あ!それとも俺が逆上して両親を
   殺しちゃったことに怒ってるの
   かい?」

勇吾「は?お前何言って…。」

敬幸「赤松ーっ!!言うな!」

敬幸は刀を赤松に振り下ろす
しかし簡単に避けられてしまった

赤松「その様子だと何も知らないよう
   だね。それなら教えてやる。
   琴葉は最後に婚約を破棄すると
   言い出してね。イライラしてつい
   君達の両親を殺したら言うことを
   聞くと思って実行したんだよ。」

勇吾「……。」

勇吾はまたもや固まる

「ゆ、勇吾…。!!」

突然激しく私の中で何かが吸い取られて
いく感覚がしてきた

(な…にこれ。)

勇吾は周りの物を切り裂いていく
どうやら暴走しているようだ

「待って!勇吾、落ち着いて!」

勇吾は赤松や暁継に襲い掛かっていく

赤松「ひぃぃ!!」

暁継「ふん、我を忘れて暴走しおったか」
  (これはチャンスだ…。)

敬幸「勇吾、それじゃあ相手の思うつぼ
   だ!」

勇吾「………。」

覚醒した勇吾は目を血のように赤く光らせ
耳まで生えてきていた

そして暁継の元へ行き、鎌を素早く首に
近づける…だが

暁継「動きがまだまだ鈍いな。」

暁継は勇吾に向かって妖気を放ち、
勇吾は避けきれずに吹き飛ばされる

木にぶつかり、ビクリとも動かない

「勇吾!!」私は駆け寄る

(大丈夫だ…、息は辛うじてしている。
 気絶しただけだ…。)

暁継「そこの娘よ。上から命令されていて
   な。一緒に来て貰う。」

「私言い飽きたんだけど、何回でも言う。
 絶対に付いて行くか!早く消え去れ!」

私は暁継に睨みつける

暁継「付いて来て貰わないと儂らも困る
   のでな。力ずくでも連れて行く。
   赤松、あの娘を連れて行け!」

敬幸「させるか!」

敬幸は暁継に攻撃をくらわすが、弾き返されるばかりだ

暁継「お主は黙ってみておれ。
   何、あの時のようにはしないさ。」

敬幸「うるせぇ!お前の手にはもう何も
   渡させない!」

敬幸と暁継で交戦が始まる

赤松「さぁ、お嬢さん。大人しく来てもら
   おうか。」

「連れていけるものなら連れていきな。
 私は絶対に行かない。」

赤松「お前のような気の強い女も嫌いじゃ
   ない。色気はまぁまぁだが…。
   どうだ?私と夫婦にならないか?」

(はぁ?こいつ気持ち悪っ!)

私は悪寒がし、構えていた矢を放つ

しかし避けられてしまう

赤松「恥ずかしがらずさぁ、こっちへ。」

(こいつキモいし、ムカつくし…。
 そうだ!)

私はお札を取り出し、自分の血で書く

そして私はトシの元へ駆け寄っていく

赤松「何をしている?」

暁継「まさか…!おい、娘を止めろ!」

赤松は桃子の後を追いかける

「トシ!このお札に名前書いて!早く!」

敬幸「!あぁ、分かった。」

お札と敬幸の距離があと数センチ

赤松「捕まえた!さぁ大人しく…。」

次の瞬間光が発生した