琴葉「父上…母上…。」

赤松「そんな奴らはどうでもよいだろ。
   こっちへ来ればそんなことすぐ
   忘れる。」

赤松が琴葉へ近づこうとした瞬間…

鬼「お前…何を、っがぁーー!!」

赤松と一緒にいた鬼族の1人が倒れた

赤松「貴様、無礼な!
   俺を誰と心得ている!」

敬幸「あぁ、知らねぇな?
   テメェはここで死ぬって
   事以外な。」
 
赤松「お、お前カラス天狗族の。
   ここでお前を討てば皆にもっと認め
   てもらえる。
   コイツの首を討て!」

一斉に鬼達が敬幸に襲い掛かる

赤松(強い鬼族が数人ならこやつも倒れる
   だろう。敬幸の首は俺が…。)

しかし数人の大量の血が辺りに飛び散る

みると鬼達は皆倒れ、敬幸だけが立っていた

赤松「な…ばかな。コイツらは凄く強い
   奴らだぞ!」

敬幸「テメェは掛かって来ないのか?
   鬼族長の息子の首を取れれば
   かなりの名誉だなぁ?あぁ?」

赤松「ひ、ひいぃ!化け物が!」

敬幸「全部手下任せとはとんだ腰抜け
   だなぁ~?」

赤松「お、お願いだ!その娘はやるから
   命だけは許してくれ。」

敬幸「…2度とその面見せるなよ?」

赤松は悲鳴を上げながら外へ逃げていった

琴葉「敬幸さん…。」

敬幸「……悪かった。
   俺がもうすぐ早く来てれば。」

琴葉「勇吾だけでも無事で良かったわ。
   ありがとう、敬幸さん。」

敬幸「あと、怖いとこ見せたな。」

琴葉「何言ってるの?怖いだなんて思わな
   いわ。助けてくれた人にそんなこと
   失礼だわ。」

ビックリして拍子抜けしたが
「そうか…。」と納得した

琴葉はずっとニコニコしているが無理を
している様にしか見えない

敬幸「誰も両親殺されて大丈夫な奴なんか
   いねーだろ。」

琴葉を包むように抱きしめた

琴葉は一瞬ビクッとしたが段々震え始めた

琴葉「ううっ…、父上、母上!
   ごめんなさい、私のせいで!」

琴葉は線が切れたように泣きだした

俺は琴葉が泣き止むまで抱きしめ続けた





敬幸「そろそろ鬼族の奴らが来るかもしれ
   ない。お前らは早く逃げろ。」

琴葉「私達の居場所はここしかないわ。
   それに…敬幸さんだって。」

敬幸「何の為にお前達を助けたか意味が
   無くなるだろ。
   死にたくなかったら逃げろ。」

そう話している内に鬼族が家に入り、
襲ってきた

しかし敬幸は切り捨てていく

敬幸「早く行け!」

琴葉は逃げようと背を向けた、その時

勇吾「あ、ねうえ…。!!」

勇吾が目を覚まし、両親の無惨な姿を目にしてしまった

勇吾「父上、母上!どうしてこんな事。」

勇吾がワナワナと震えていると次に血で
濡れる敬幸を目にする

勇吾「敬幸…お前。どうしてだ!!」

琴葉「勇吾、いいから早く逃げましょ!」

勇吾「絶対許さないからな!敬幸っ!」

琴葉は勇吾を抱え込んで走っていく

どうやら両親は俺が殺したと思ったらしい

でもどう思われてもいい
例え一生勇吾が俺の事を憎んでいても無事に生きているならそれでいい

(無事に生きろよ…。)

琴葉もこれで一生会えないかもしれないが
それで良かった

(惚れた女が幸せならそれでいい。)