今日はあの妖怪が心配だったので
早めに帰路についた

家の中に入るとあの妖怪はまだ眠っていた

(こんなに寝てるなんて生きてるのか?)

私はそっと近づいてみた
近くにきた瞬間妖怪はそっと目を開けた

…「ん?…ここどこだ?俺は確か…。」

妖怪はしばらくボーッとしていたら
ゆっくりと私の方を見た

私に向けられた赤い真っ直ぐな目で
見てきたので私は少しドキッとした

(ど、どうしよ。何て説明すればいい
 かな?)

私が固まっていると

…「お前、何で俺のことが見えた?」

「え?だって普通に分かるじゃ…」

…「俺は僅かだが妖気を張っていたんだ。
  見えるってことは普通の人間じゃ
  ないな…。」

(しまった!そういうことも出来るのか。
 バレたくなかったのに。)

私は身を強張らせた

…「見える人間は俺をいつも利用してきた
  だからお前もきっと同じことを
  するんだろ?」
と言い妖怪が襲ってきた 

(や、やめて!)

私はとっさに首にかけている数珠を
妖怪に向かってかざした

妖怪は吹き飛ばされた

(な、何とか落ち着かせないと!)

私はポケットにしまってある紙を出し
呪文のようなものを唱えた

「……春夜出てきて!」

私が言い終えると大きな犬が出てきた

春夜はジャンプすると妖怪に向かって
落ちていった

…「え?ちょ、待て待て!えぇーー!!」

妖怪はあっけなく下敷きにされた

どうやら落ち着いたようだ

私は近いて話しかける

「私は何もしないよ!失礼な!
 そんな人達と一緒にしないでくれる?
 だいたいあんたの怪我を治したのは
 この私だけど?
 お礼の一つもないわけ?」

…「……っ、すまん。
  俺も悪かった、俺に関わる人間は
  そんな奴らしかいなかったから。」

どうやらこの妖怪にも事情があるらしい

まーこの位で許してあげよう

「分かったよ。私は確かにこんなこと
 出来るけどそんな悪用したりしない。
 第一周りの人にこんなことバレたく
 ないから、あんま使わない。」

…「……そう、か。」

「ところで名前なんて言うの?」

…「まずこいつをどうにかしてくれ
  そうしないと言わない。」

「あ、ごめん。戻すから。
 春夜、もう戻っていいよ。」

そう言うと春夜は素直に紙に戻っていった

「はい、戻したから教えてよ。」

…「でもな~こんな娘に教えるのもな。
  美人のねーちゃんだったら…」

「こんな小娘で悪かったな!
 また春夜出すよ?」

(こいつ。地味にムカつく)

…「すまん、すまん!教えるから
  それだけは止めて!!
  俺の名はキョウヤだ。
  まー分かってると思うが
  九尾の狐だ。」

「ふーん、そうなんだ。」

キョウヤ「なっ!何でそんな興味なさそう
     なの。
     地味に傷つくからてやめて!」

「あは、ごめんね。
 私は桃子。
 じゃあキョウちゃんでいいかな?」

キョウヤ
「まー、なんとでも呼べ。」

桃子は眩しい笑顔で呼びかけた。