俺はそのまま勇吾と琴葉を見送り自分の住む集落に帰った

しかし帰ってみるとどうやら騒がしい

「おーい、敬幸!今帰ったのか。」

敬幸「一体どうしたんだ、兼元。」

兼元は数少ない信頼出来る仲間だ

兼元「また鬼族の奴らが来て…。
   お前のにーちゃんが応接してる。」

敬幸「ちっ…。またあいつらか。」

鬼族とは昔から仲が悪く、何かと文句や喧嘩を起こしてくる

鬼族は力、烏天狗は知恵で戦う

端から正反対なのでこの2族は合わない

敬幸「兄貴!大丈夫か?」

「あぁ…。また何か気に入らないことが
 あったようだ。
 鬼族の奴らにも困ったもんだ。」

…「全く、烏天狗族の長である人が
  困ったことだな。
  せっかくこちらも穏和にしていると
  いうのに。」

敬幸「……何の用だ暁継<あかつぎ>。」

暁継「おやおや、烏族の養子には教育が
   なってないようですな。
   幸成<ゆきなり>殿も大変だな。」

幸成「止めなさい、敬幸。
   大変失礼しました暁継さん。
   まだ若いので許してやってくれない
   でしょうかね。」

暁継「ふん、まぁよい。今回は許す。
   それと1つ報告があってな。
   儂の1人息子に近々縁組させようと
   思っていてな。
   何でも此処らに住んでいる娘に惚れ
   たらしくて、結婚したいと言い出し
   てきてな。」

幸成「はぁ、それはおめでたいことで。」

暁継「まぁ、相手も妖怪で確か…
   雪女の琴葉といったかな。」

(っ!琴葉!?あいつと…?)

暁継「おや?どうしたのかな、敬幸君?
   あぁ、そういえば雪女と仲が良かっ
   たと聞くな?
   まぁ友人なら祝福してくれて当然
   だな。
   早く敬幸君も良い相手を見つけた方
   が良いな。」

敬幸「…………。」

暁継「では色々準備があるのでこれで
   失礼するぞ。」

そう言い暁継と2人の部下は消えていった

幸成「敬幸、お前まさかそのお嬢さんの
   ことが…。」

俺は無言で飛び去っていった

幸成「待ちなさい!とし!」

(くそっ!!何でよりによって鬼族のバカ
 息子となんだ。
 他の奴だったら素直に祝福出来たはすだ。)