勇吾「クソ敬、姉上から離れろ!
   お前みたいな奴が姉上と話せるだけ
   でもありがたく思え。」

敬幸「お前のその言葉は何処で覚えてくる
   んだよ!
   俺の方が年上なんだから敬語を使え
   敬語を!」

琴葉「ごめんなさい、敬幸さん。
   悪い言葉は使わないよういつも言っ
   てるんですが…。」

敬幸「おら!ねーちゃんもそう言ってるん
   だから言うこと聞け。」

琴葉「勇吾、名前にちゃんと「さん」を
   付けないとダメでしょ?
   それに「です・ます」とかも付け
   ないと…。」

勇吾「姉上……。分かりました!
   じゃあ…
   クソ敬幸さん、姉上から離れて
   いただけないでしょうか。
   あなたみたいな人が姉上と話せる
   だけでありがたく思って下さい。」

琴葉「まぁ!それでいいのよ、
   偉いわね!」

敬幸「いや、あんま変わってない気がする
   が…。」

琴葉と勇吾と俺はよく一緒にいた

俺達の住んでた山には妖怪があまりいなかったためだ

琴葉「ふふふっ。二人とも仲良いわね。」

勇吾「姉上、勘違いしないで下さい!
   こんな奴と仲良くするくらいなら
   オケラと仲良くしてた方が
   いいですよ。」

敬幸「俺もゴメンだな、
         こんなガキとは…。」

俺は琴葉を見つめながら言った

琴葉も俺の視線に気がつきニコニコと
穏やかに笑う

照れくさくなり、顔を背ける

俺の一族はまぁまぁ沢山いるが荒くれ者の
俺と話してくれる奴らはそうそういない

この2人ぐらいだ

最初はうざかったので適当にあしらっていたのだが
特に勇吾がなんだかんだで突っかかってきたので
よく話すようになった

琴葉は…
俺は気づきたくなかったが、好きだ

でも絶対にこの気持ちは今は伝えたくない

いつか素直になれる日が来るかもしれないけどな…

でもこの時の俺に後悔した

伝えられるうちに伝えれば良かったということを…