「…………。」

勇吾「………………。」

秋も深まってきたこの頃、私達は現在
買い物にどっちが出かけるかについて
勝負をしている所だ

勝負物はトランプ

勇吾「俺はこっちを取らせて貰う。」

「あっ…、そっちは止めてー!」

勇吾「はい、上がり。俺の勝ちだな。
   寒い中ご苦労さんー。」

「てか、あんたは大体なんで私の家に
 ちょいちょい遊びに来てるんだ?
 大人しく、自分の家にいなよ!」

勇吾「えー、先生に勉強教えて貰うために
   来てるから。
   それに近所付き合いも大切だろ?」

キョウヤ「お前ら、どっちでもいいから
     早く買い出し行ってこいよ。」

「寒いよー、ヤダヤダ行きたくない!」

勇吾「あ、じゃああの事そろそろクラスの
   奴らに…。」

「わー、ショッピング楽しみだなー!」

私は逃げるように外へと走り去った

勇吾「あいつ面白い奴だな。
   遊び甲斐があるぜっ。」

キョウヤ「勇吾くん、あんまり苛めてやる
     なよ?
     ホントに言いふらすと困るのは
     君も同じことだからな。」

勇吾「分かってますよ、先生。
   ただ、あんな人間まだこの世に
   いたんですね。」

キョウヤ「あぁ…俺もビックリだわ。
     ただあの性格だからあまり
     事件に巻き込まれて欲しくない
     んだがな。」

しかし桃子はまたもや事件に巻き込まれる前兆に出会っていた

ーーーー桃子の出会うまでの記録ーーーー

「ううっ…。寒いよー!」

10月に入ったばかりだが、それでも冷たい
風が容赦なく吹き付けてくる

「いいや、帰り道にあった自販機でココア
 買ってかーえろ。」

(ココアは甘くて美味しいもんねー♪)

浮かれ気分で歩いていくと

突然黒い何かが私の目の前に落ちてきた

「ぎゃーーっ!!何々!?」

腰を抜かしてしまいその場で座り込んだ

(黒い物…“あの方”の手下?)

私は後ろずさり警戒してよく目を凝らす

「あれ、カラスかな…。」

カラスが倒れていただけだった

(よく見ると、ただのカラスじゃない。
 妖怪の気配が微かに漂ってる。)

誰かの式神かな…

でも私みたいな術使える人なんてそうそう
いないよね

いたらいたでビックリだ

私がそっと抱き上げても、カラスはびくともしない

(相当弱ってるなこりゃ…。)

私はカラスを抱えたまま家に向かった