雲蓮「あぁ…、あの時の坊やねぇ?
   やたらと子供のくせに威勢の良い
   坊やがいたわね。」

勇吾「人の大事な人達を奪っておいて
   忘れてたとは酷えな…。」

雲蓮「あの術者、気が動転してて弱かっ
   たから、お腹を刺したら…
   すぐだったわ。」

そう楽しそうに話す雲蓮を黙って見つめる
勇吾の周りからは殺伐とした気を
出していた

雲蓮「坊やのお姉さんは~知らないけど
   私のお友達が処理したかもね!
   でも坊やが生き残ってたなんて
   凄いわ~!」

勇吾「っ…ま、れ……。」

雲蓮「またあの時みたいに、その子を
   追いて逃げてもいいのよ?
   坊やは間違っていないわ。
   力の強い者が戦い、弱い者は守られ
   逃げるべきよ?
   坊やは見逃してあげるから
   はや…。」

瞬間、雲蓮の腕が全て切り落されていた

雲蓮「あああっ!!」

勇吾「その口を閉じて黙ってろって
   言わなかったか?
   次なんか喋ってみろ、
   次はその腹切り裂いてやるぜ?」

雲蓮「ひっ…!」

流石の雲蓮も今までの勇吾の雰囲気の違いに怯えて言葉も出ないようだ

(あっ…怒らせたら1番怖いタイプだわ。
 あと面倒くさい。)

雲蓮(こうなったら、あの娘だけ
   連れていって…。)

雲蓮は突然、私に向かって生えてきた腕を
使い糸を出した

しかし、糸は切られてしまい

雲蓮「っぎゃあ!!」

肩を鎌で貫かれていた

勇吾「どうやら、お前の中ではまだ何も
   出来ないか弱い子供らしいけど
   何年たったと思ってる?
   俺だって人みたいに成長するから
   な?
   この首だけで、チャラにして
   やるよ。」

勇吾は雲蓮の首に鎌をあてがい笑って
いたが目だけは怒りで満ちていた

雲蓮「や…めて、“あの方”が許さない
   わよ。」

勇吾が鎌を振り下ろす直前、

突然乱入したマントを羽織った男に
勇吾の鎌が弾き返された

勇吾「っち!おい、待て!」

男は雲蓮を抱えると、木に飛び乗った

マント男「今回は見逃してやる。
     だが、次はこんなものでは
     済まさせない、と“あの方”が
     言ってたぞ。じゃあ。」

と言うと木を渡りながら消えていった

「お、終わったの?」

勇吾「…そうだな、気配も消えてる
   しな…。」

キョウヤ「おーーい!お前ら無事か!?」

するとそこへキョウヤが駆けつけてきた

「キョ、ちゃ…。」

私はキョウちゃんにアッパーをおみまい
した

キョウヤ「いってーーな!仕方なかった
     だろ!
     それでも俺はお前が心配
     してて…。」

桃子の目からは涙が溢れていた

「良かったっ…皆を守ることが出来た。
 キョウちゃんが居ないから不安だった
 けど、私でも守ることが出来たよっ!」

キョウヤ「あぁ…、頑張ったな…。
     とにかくお前らが無事で良かっ
     たよ。」

キョウちゃんは私のことを優しく抱きしめ
頭を撫でてくれていた

勇吾(後半はほぼ俺が頑張ってたんだ
   けどな…。)

「あどっ…、クモも、

 ぎもぢ悪かったよ~ぉ!!」

キョウヤ「あっそぉ…。」
    (大半この涙、クモのせいだな)

「あっ、そうだ!」

泣き止むと勇吾の元へと歩み寄った

勇吾「なんだよ…。」

「この式神、今破棄するね。
 この戦いが終わってからって約束だった
 からさ。」

式神を取り出し破ろうとすると、
勇吾に奪われてしまった

「何すんの!あんただって嫌がってた
 じゃん!」

勇吾「気が変わった。あの女操ってた
   “あの方”倒すまでお前と契約して
   る。」

「はぁ!?何言ってるの!
 正体も行方も分からないのに…。
 それとあんたなんて妖怪要らないわ!」

勇吾「俺が手伝ってやるって言ってる
   んだよ。」

勇吾は式神を私に返すと突然耳元で
囁いた

勇吾「これからよろしくなー?主様。
   もし式神を破り捨てでもしたら
   大声で橋下先生に泣きついてた事
   言いふらすぞ?」 

(あ、終わった。完全に弱み握られた。)

私が顔を真っ青にしていると…

勇吾「それと、男の前であんな弱った姿
   見せてるとすぐ食われちまう
   かもな、桃子。」

突然、耳をかじられたのだ…

「いったっ!!」

勇吾はニヤリと私に向かって笑うと
校舎の中へ入っていった

私は一瞬ポケーッとしていたがすぐ我に
返り

(はぁーっ?何だよあの態度は!
 てか怖っ!かじることないじゃん!)

「馬鹿勇吾ーーっ!!」

顔を真っ赤にし、怒った

キョウヤ(最近の子は怖いっ…!
     やることが恐ろしいわ…。)

キョウヤは青ざめていた

明音「桃子ちゃんっ!!無事だったのね!
   良かった!」

明音も駆けつけてきて、私を見るなり
抱きついてきた

明音「ごめんなさい!桃子ちゃんの言う
   ことちゃんと聞けばよかったわ。
   私が半端な気持ちで行こうなんて
   言わなかったら、桃子ちゃんも
   嫌な目に合わなかったのに!」

明音は泣きながら、私を強く抱きしめた

「明音、大丈夫だよ…。
 皆が無事なら私も文句ないから。」

私は明音の背中をさする

キョウヤ「さぁ、お前ら早く帰るぞ。
     親も心配するからな。」

私は明音の手を引き校舎の中へと入っていった