(さっきまで気がつかなかった…。
 この人も妖怪だ!)

雲蓮の周りは特にクモの巣やクモ達が
酷く纏わり付いていた

(あんま直視したくない…!)

勇吾「おいおい、今日は随分と大妖怪様
   達がいるなー。
   九尾の狐に女郎蜘蛛…、レジェンド
   祭りか?」

「あんたも、そこそこな妖怪だと思うけど
 ね…。」

雲蓮「うふふ。そんなに褒めても何も
   出ないわよ?それと、近くに
   九尾さんもいたのね?
   あーら残念、もしいい男だったら
   私のものにしていたのに…。
   小さい坊やと娘さんじゃねぇ?」

「ねぇ、そんなことより“まだここに獲物が
 いた”って話してたけど…あんたが
 この学校にいた人間を連れ去ったって
 こと?
 返さないとどうなるか分からないよ?」

雲蓮「そんなに怒らないでよ~。
   たかが人間如きに私にたてつく事
   が出来るのかしら?」

「残念ながら出来る人間もいるんだ
 よねー。」

私は数珠を構え、勇吾は鎌とカマイタチ達
を出した

雲蓮「あら、坊やも妖怪だったのね~!
   妖怪は…食べても美味しくないし
   そこのお嬢さんだけを攫って
   いくとしましょうか~。
   霊感の強い人間は力も取り込める
   ものね!」

雲蓮は糸を操りクモ達を使って攻撃を
仕掛けてきた

勇吾は清々しい顔で糸とクモ達を切り裂いていく

勇吾「相手が悪かったなー。
   あんたがいくら糸で縛りつけようと
   俺はすぐに切れるからさ?」

雲蓮「そこのお嬢さんはそうでもなさそう
   だけどね?」

「ぎゃー!!来ないで、来ないで!
 何でよりによってクモなわけ!?」

私は必死に数珠で防御していた

「何よ、その顔!あんたが異常すぎる
 のよ!こんな事ならホントに肝試し
 なんて来なければ良かったよ!」

勇吾「いや、そうは言っても俺、嫌いな虫
   いねーし。それにあの人は女郎蜘蛛
   クモそのものだからな?」

(そんなこと言ったって無理なものは
 無理ーっ!!)

私は涙目になりながら「風神!!」と
叫びながら御札を投げつけ、クモや糸を
風で吹き飛ばした

雲蓮「うふ、可愛いお嬢さんね。
   ますます食べたくなっちゃった
   わぁ~~!」

私はゾクゾクっと背筋が凍り付いた

「キョウちゃんか春夜、どっちでもいい
 から出てきて!お願いぃ~~!!」

私は2つの式神に向かって叫んだが
反応が無かった

勇吾「どうやら、結界を貼られたらしい。
   残念だったな…。」

勇吾はニヤニヤしながら鼻で笑った

雲蓮「お嬢さんの術の使い方といい雰囲気
   見たことがあると思ったら…。」

雲蓮はそう言い突然笑い声を上げた

雲蓮「そうか…“あの方”が仰っていたのが
   この子だったのね!
   あぁ、ようやく見つけたわ。
   “あの方”がお喜ばれるに違いない
   わ!」

雲蓮の変な様子に私と勇吾は目を丸くして
見ていた

(“あの方”!?雲蓮は知っているのか!
 やっぱり、私の事を知っていた
 のか…。)

私が顔を強張らせていると

勇吾「その様子じゃ、お前何か知っている
   な?どういうことだ。」

「上手く説明出来ないけど
 あんたは知らなくていいの!余計なくび
 突っ込まないで。」

その言葉に勇吾はムッと不満そうな顔を
していた

勇吾「何だよ、そんな言い方しなくても
   やっぱりお前は可愛げがな…。」

「お願いだから、あまり関わらないでっ
 …。」

悲しそうな顔をする桃子に勇吾は何も
言えなくなった

勇吾(何でそんな悲しそうなんだよ。
   って、俺はいつからこいつに興味
   持ち出したんだ?こいつは唯の
   人間なのに。)

「雲蓮、あんた“あの方”のこと知ってる
 のか?色々聞きたいことはあるが、
 何故私のことをしっているんだ?」

雲蓮「“あの方”がお嬢さんにご用がある
   らしいわよ?詳しいことは分からな
   いけど、お嬢さんを“あの方”に
   連れていったら“あの方”に沢山の
   力を与えて下さるそうだから
   全員血眼になってお嬢さんの事
   探してるそうよ?」

「正体は…教えてくれないの?」

雲蓮「残念だけど教えちゃいけないことに
   なってるのよねー。
   ごめんなさいね?」

(“あの方”は意地でも教えない気で
 いるのか…。)

勇吾「“あの方”ってのは小心者らしいな。
   面倒くせーことは手下に任せて
   ダメな上司の典型だな…。」

勇吾はため息をつきながら言う

(可愛い顔して毒のある発言だな…。)

私は苦笑いをした

雲蓮「少し口を慎んだほうが良いわよ、
   坊や?」

口調は冷静だが、目の光が入っていな
かった

雲蓮は相当“あの方”に惚れ込んでいるらしい

雲蓮「まぁいいわ、予定変更よ。
   お嬢さんは何が何でも生け捕りに
   して、坊やは微塵もなく八つ裂きに
   してあげるわ!」

雲蓮は大きくなっていき、胴の脇から
足を生やし、着物を破って
クモのような体型へと変化していった

(うげっ!!言ったら更に怒るから
 絶対に言わないけど



 
 気持ち悪っ!!)


雲蓮「さぁさぁ!
   この私妖怪女郎蜘蛛、雲蓮
   歯向かうことが出来る
   かしらぁ~~?」

雲蓮はけたたましく笑った