「あんたも、妖怪だったの?…」

勇吾「あ~あ、お前も消そうと思ったのに
   まさか術者だったとはな…。」

キョウヤ「あの時感じた違和感は
     やっぱり正しかったらしい
     な。」

勇吾「あれ?そんなに匂ってましたっけ?
   俺的には本気で隠してたつもり
   なんですけどね~。」

流石は大妖怪九尾!と勇吾はケラケラと
笑っていた

「それより皆は何処に隠したの?
 返答次第ではただでは済まさせない。」

勇吾「まずは自分の心配をしたらどうだ?
   お前みたいなチビな女だったら
   すぐにやられちまうぞ?」

勇吾は素早く鎌を構え迫ってきた

しかし、私も俊敏な方だったので数珠を
取り出し鎌を弾いた

「チビな女でも簡単にやられるとは
 限らないよ?
 大人しく皆を解放しないなら無理にでも
 解放させてもらうから。」

勇吾「あーあ、だから意地っぱりな女って
   のは可愛げがなくてつまらねー。
   困惑する顔を期待してたのにな。」

(こいつ、今凄い発言したな…。
 ついに本性だしてドSになってたぞ?)

自分が予想していたのと違う状況になり
つまんなそうな顔をしている

(てか、こんな事考えてる暇はない!)

私は頭を振るとキョウちゃんの式神を出し
呪文を唱えた

キョウヤ「言うことを聞かない勇吾くんに
     は指導を受けてもらうことに
     しまーす。」

勇吾「安心してください。2人共俺の
   鎌の餌食になってもらうので!」

勇吾は再び鎌を構え直し、
キョウちゃんは刀を手に勇吾に向かって
迫っていった

キーン!キーン!と激しい戦闘となり
しばらく経つと

勇吾「お前らも手助けしろ。
   あの男を襲うんだ、いいな?」

勇吾が言うとカマイタチ達がキョウちゃんに引っかき、噛み付いていった

キョウヤ「お前ら!邪魔だ、どけ!」

キョウちゃんは少しずつペースを乱して
いく

(このままじゃヤバイ…。)

その時運良く春夜が戻ってきた

「ガルルル!!」

春夜はカマイタチ達に噛み付き、
勇吾に向かって雷を落とした

勇吾「おっと!危ねえな。こんなに凶暴
   過ぎるといつか暴走するぞ?
   てめぇの犬ならてめぇで責任持って
   躾しろ!」

「その言葉そのままそっくり返して
 やるよ。」

カマイタチ達は私にも襲ってきた

しかし私は全て避けつつ数珠で防御
していた

キョウヤ「そろそろ勝負を着けるか…。」

炎が勇吾の周りを取り囲んだ

勇吾「っ!あ…つい。」

「捕縛!!」

私はひるんだ隙に御札を勇吾に投げつけた

すると勇吾の周りはツタで覆われて
しまった

「これに懲りたらこういうイタズラは
 しないことだね。」

勇吾「ちっ…、こんな奴に負けるとは
   屈辱だな。」

ふんっ!と私は鼻で笑った

キョウヤ「君なんてまだまだ若いんだから
     こんな事しちゃダメじゃない
     のか?
     もう2度とすんなよ?」

勇吾「わーったよ。仲間も返してやる。
   皆は研究室にいるよ。」

私は術を解き、勇吾を解放した

研究室へと向かいドアを開けたら
皆はいた

「うん、大丈夫。皆無事だ。キョウちゃん
 と春夜、皆を運んでお願い。」

私は人数を確認しつつ皆を運ぶ準備をした

「あ…れ?杏奈と真守がいない!
 ちょっと!2人はどこにいるの?」

勇吾「知らねーよ。俺が連れ去ったのは
   こいつらだけだし。」

「あの2人とは一緒に行動してたんだから
 分からないことはないでしょ!?」

勇吾「杏奈っていう奴が凄いシツコかった
   から逃げて来てその後は知らん。」

「なっ…!こんなイタズラするならちゃん
 と責任持ってからやるだろ!」

キョウヤ「お前ら、ここまできて喧嘩する
     なよ。何処かで迷子になってる
     かもしれねーから皆を運んだら
     探しに行くぞ。」

キョウヤと春夜が皆を運び、研究室を
出た

バシン!!

突然、研究室のドアが閉まったのだ

「え?何急に?まさか…
 ポルターガイスト!?」

勇吾「んなわけねーだろ。漫画の読み過ぎ
   だ。さっさと出るぞ…。」

勇吾がドアを開けようとしたが
ビクともしない

勇吾「なっ!どうなってんだ!
   開かねーぞ、これ!」

「そういう冗談はいいから開け…
 ってホントに開かない!」

私は反対側のドアを開けようとしても
まるで何かの力で押さえつけられた
ように動かなくなった

キョウヤ「おいお前ら、何があった!
     こっちからも開かねーよ!」

キョウちゃんも何とか開けようと試みて
いるがどうにもならない

「待って!この部屋、気配がある!
 誰かいるの!?」

でもこの研究室には私と勇吾しかいない

なので辺りはシンと静まり返っている

勇吾「俺にはそんなの分からないぞ。」

ふと下の方でカサカサと音がしたので
見てみると

「ひっ!気持ち悪っ!!」

小さいクモと少し大きいクモが
足元で歩き回っていたのだ

勇吾「何かやけに天井からクモの巣が
   落ちてくるけど。
   ここの部屋ってこんな古かった
   か?」

「いや、ここの部屋は新しくできたばかり
 でこんな汚いはずはない。」

私は体中に悪寒が走った

(私、クモは嫌いなのに…最悪!)

…「あらあら?まだここに獲物がいた
  の?今日はご馳走になりそうね?」

2人で声のする方向へ向いた

…「子供の人間が2人…。最高じゃない!
  若い肉は美味しいものねぇ~?」

暗闇から紫のクモの巣の柄が入った着物の
女の人が出てきた

…「こんばんは?
 わっちは雲蓮《くれん》と申しんす。」

謎の女、雲蓮は怪しく微笑んだ