(だから別行動は危険なのに!
 意地でも念押ししとけば良かった!)

私達は全速力で廊下を駆け抜け、
階段を降りるを繰り返した

明音「ここの学校、無駄に複雑だから
   見つけ出すのは大変ね…。」

(くそっ!!どうか大事にはなってなけ
 ればいいけど…。)

聡「皆、無事だといいね。」

紫苑「桃子ちゃん!ど、どうしよう…。
   皆とはぐれちゃった…。」

男子生徒A「おい、どうすんだ!
     皆消えちまったぞ!」

女子生徒A「あ、杏奈が…。」

明音「皆!落ち着きなさい!
   1人ずつ話しを聞くから!」

(おぉ、流石明音だ。)

暴走族のリーダーをやっているだけある

(って、感心してる場合じゃないね。)

紫苑「皆と一緒に歩いていたら
   加奈が教室に忘れ物したからって
   取りにいったの。
   それで春花が足から血が出たって
   言ったから愛海ちゃんと一緒に
   近くの水道に行ったの。
   それで春花が心配で様子を見に行っ
   たら2人ともいなくなってて、
   加奈に報告しようと教室に行ったら
   加奈もいなくなってた…。」

男子生徒A
  「俺も最初から皆で歩いてたはず
   だったのに、皆足が痛いって
   言い出したから少し休憩しようって
   いったら何処からか強い風が
   吹いてきてちょっと目を瞑った
   瞬間に3人共消えたんだ!」

紫苑「そういえば、春花も足から血が
   出たって言う前、強い風吹いていた
   かもしれない!」

(風?足から血に足が痛い…。)

明音「そろそろ落ち着いたかしら?
   実結ちゃん、話せる?」

実結「あ、杏奈と勇吾くんと真守で
   歩いてたんだけど…。
   杏奈がずっと勇吾くんにくっついて
   たから勇吾くんが嫌がって
   どっかに行っちゃったから
   探し歩いてたんだけど……
   真守が急に消えてしまって
   そしたら、杏奈も…。」

実結は話し終わるとまた泣き出して
しまった

(皆、突然消えていった事は同じなのか。
 この異変は全部同一人物か…。)

「取りあえず無事なのはここに居る
 6人ってことだね。
 ここからは絶対にはぐれないように、
 皆でくっついて行動しよう。
 一応くまなく隅まで探して見よう。」

聡「そうだね、建物内が複雑だし、
  暗くて見つからなかったかもしれ
  ないからね。」

…「おい、お前ら…。」

「「「「「「ぎゃーー!!」」」」」」

紫苑「って、橋下先生?」

キョウヤ「今、何時だと思ってるんだ?
     いくら高校生でも夜に出歩いて
     たら補導されるぞ。」

実結「何で、橋下先生がここに?」

キョウヤ「あぁ、俺忘れ物してたから
     職員室まで取りに。」

男子生徒A「よく、襲われなかった
      な…。」

キョウヤ「ん?襲われるって何だ?」

明音「実は、私達肝試しで来たんですけど
   歩いてる内に9人が行方不明に
   なって探してるんです。」

キョウヤ「ったく、何してるんだよ…。
     俺も手伝うから
     取りあえず外に向かうぞ。」

そう言い引き返していった

「ね?紫苑、これに懲りたらもうこんな事
 興味本位でしないように…
 って紫苑?」

まさかと思い振り返ると

「し、おん?何処に行ったの?」

私の近くにいた紫苑が居なくなっていた
のだ

明音「さっきまでそこにいたのに、
   どういうこと!?」

実結「もういや!私達が何をしたって
   いうの?嫌だ、私も消えた
   くない!」

男子生徒A「くそっ!何が起こってるか
      分かんねーよ!」

「明音と実結ちゃんと歩(男子生徒A)
 は居るね。聡、聡は?」

明音「うそっ……。聡?聡、どこに
   居るの!?返事してよ!」

(流石の明音も弟が居なくなったら
 落ち着けないわね…。)

「とにかく、くっついて……。」

突然、竜巻のような突風が起こった

(何か気配が近づいてくる!)

私は咄嗟に気配から遠のいた

「痛たた…。皆平気…。」

そこにいたのは明音と明音を庇った
キョウちゃんがいるだけだった

「実結と歩は?2人ももしかして消え
 たの?」

キョウヤ「らしいな…。
     これはただ事じゃなさそうだ
     ねー。」

明音「せ、先生、足から血が…。」

キョウヤ「あぁ、大丈夫だよ。
     それより桃子の言うとおり
     これに懲りたらもう2度とこん
     な事すんじゃねーぞ?」

明音「ご、ごめんなさい。
   だから弟を探して下さい!」

明音は今にも泣きそうな顔で頼んだ

キョウヤ「分かったから、泣くなよ?
     子供に泣かれると困るから
     よ…。」

キョウちゃんは明音の頭をポンポンと
叩いた

明音「ありがとっ…。」

明音は突然倒れた

キョウヤ「もうこうなった以上
     眠らせた方が都合がいいだろ?
     バレると面倒くせーしな。」

「ありがと、キョウちゃん。
 それにしてもこの気配、妖怪の気配
 だと思うの。」

キョウヤ「あぁ、だろうな。
     皆の話しを聞いてみると
     鎌鼬《カマイタチ》かもな。」

「カマイタチか…。確かに似てるね。」

春夜!と叫び春夜を呼び出した

「春夜、明音を外まで運んできて
 お願いね。」

「ワフ!!」

明音を春夜の背中に乗せると春夜は
暗闇の中へと消えていった

「よし、明音は無事として
 1人ずつ探していこう!」

キョウヤ「こんな騒ぎ起こすなんて
     とんだ物好きな妖怪もいた
     もんだぜ…。」

「…!キョウちゃん、前から何かの
 気配が迫って来る!」

キョウヤ「よし、分かった。」

キョウちゃんは目の前に向けて狐火を
放った

目の前は狐火でゴウゴウと燃えている

…「先生、生徒に暴力すると
  体罰で訴えられますよ。
  もう少しで燃える所だったじゃ
  ないっスか~。」

キョウヤ「君だってこんな度が過ぎた
     イタズラは指導の対象になっ
     ちゃうよ?

     





     
     


      



     篠原 勇吾くん?」