素直にそれを受け取り、八橋さんはこてんと首を傾げた。
その動作が可愛く見える。

「車に行ってエアコンつけてきてください」
「了解です」

ちゃらり、と鍵を回して微笑む。

惚れた弱み、か。

私はお弁当と、いつも持ち歩くバッグを持って家を出た。
八橋さんが庭の木陰に潜んでいる。

「車の中、そんなに暑いですか?」
「いえ、植物が綺麗だなと思って」
「春から秋までは色んな花が咲くんですよ。冬は少し寂しいんですけど」

ちょっとお庭自慢を込める。

それを聞いて頷く八橋さん。