高校に入学してからは、唯一この病気のことを知っている中学の友達とだけ過ごすようにした。
新しく出会ったクラスメイトとは話しかけられたら話す程度で、自分からは話さない。
高校の友達は一生ものだと、どこかで聞いたせいだ。
新しくできた友達の声が、いつかこの耳に届かなくなるのが怖かった。
誰も話しかけてこないように、去年の誕生日に父さんに貰った黒のヘッドホンを1日中身に着けるようになった。
友達は要らない人と関わりたくない。
最初のうちは興味本位で話しかけてきたクラスメイトも、一か月もたてば飽きて、のちに誰も声をかけてこなくなった。
人避けのつもりで付け始めたヘッドホン。
いつしか、耳元で流れる爆音が俺の心を落ち着かせるようになっていた。
自分の世界から、意地でも音を失くしたくなかったのだ。
──けれど、冬休みが始まる少し前。
「きみ、空の飛び方知らないでしょう」
自分だけの小さな世界に閉じこもろうとしていた俺を、再び広い世界に連れ出そうと手を差し伸べてくれる人がいた。



