「ゆんも、俺も母さんも、雅翔のこと本当の家族みたいに思ってるんだ。家族の幸せを願わない奴なんてさ、お前の周りにはいないよ」
「壱くん、」
「なあ、雅翔」
―――もっと自分の思うままにしていいんだよ
胸の奥が締め付けられるように熱い。
僕の思うままにしたいことは、
僕がこの先もずっと大切にしたいのは。
「なぁ雅翔、ゆんが言ってたよ」
「え…?」
「"わたし──────"」
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壱くんはぽん、と僕の背中を優しくたたき、「おまえは大丈夫だよ」と言って柔らかく笑った。
…ああ、もう、なんだ。
バカみたいじゃないか、本当。
ツー…と頬をつたう暖かな雫。
零れないように必死になっていたはずのそれは、あふれだしたら最後、拭っても拭っても止まることを知らなかった。



