──けれど、壱くんだけは違った。
壱くんは、僕がゆんに対して“普通”以上の気持ちを抱いていることに気づいていた。
いつも通り学校に行って、部活をして、浅木先輩と肩を並べて帰った。
先輩と駅で別れた後、買いたい本があったのでひとりで本屋に行った。
そこで偶然壱くんと出くわしたのだ。
多分、側近で2週間はゆんの家に行っていなかったから、必然と壱くんともそのくらい会っていないことになる。
「よ。久しぶりだな」って、そんな適当なあいさつを交わして、そのまま流れで一緒に帰路についた。
――雅翔が幸せそうでよかった
帰り道。
壱くんはいつもと変わらないトーンでそう言った。
「彼女できたって、朝陽から聞いたぞ」
「…はずかしーよ」
「はは。けどよかったじゃん。俺は、お前が幸せなら嬉しいよ」



