『雅翔はゆんのことが大好きだよな』
『…当たり前だろ。ゆんと、晴陽と朝陽と3人でいる時間が一番楽しいよ』
『お前ら3人には本当に感謝してる。けど、ゆんといるのがつらくなったら、その時は無理しなくていいから』
ゆんを支えるのは家族の使命だ。
もし僕や双子が、ゆんに関わることで辛い思いをすることがあったらそのときは離れて行って良いと、壱くんはそんな悲しいことを平気で言った。
…そんなのあるわけがない。
そういうと、壱くんは笑った。
あの時の、菊花ちゃんと同じ、悲しそうな笑顔だった。
『あのな、雅翔』
───世の中には、“普通”しか受け入れてくれない人がたくさんいるんだ、
そんな世界で生きていかなきゃいけないなんて、僕は嫌だ。



