僕の世界の半分で





―――障害者とは、「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む)その他の心身の機能の障害があるものであって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの」(障害者基本法第2条第1号)である。



福祉系の大学に通っていたゆんのお兄ちゃん―――壱(いち)くんが持っていた教科書には、“障害者”についてそう定義している文が書かれてあった。


その教科書を少しだけ見せてもらった当時 僕はまだ9歳で、書かれている言葉の意味を理解するどころか、漢字の読み方さえもわからなかった。


そんな僕に、壱くんはひとつひとつの言葉の意味を丁寧に説明してくれたのをよく覚えている。




『雅翔、この言葉の意味、わかる?』

『…えーっと、漢字が…』

『あ、まだ読めないか。ごめんごめん』

『壱くんいじわるだなぁ』

『ごめんって。じゃあ、そうだな。雅翔はゆんの病気、何か知ってる?』

『“チテキショーガイ”って、菊花ちゃんに聞いたよ』



その昔、ゆんは“チテキショーガイ”という治らない病気で、周りとは少し“違う”と、菊花ちゃんに教えてもらったことがある。




ーーー“違う”って、なにが?