「んーん、うふ、の間違い!うふふ〜行ってらっしゃーい♪」
「……」
なんなの、そのゆるい笑みは。口元が波線みたいになってる。
「ふんふーん♪部活いっきましょ〜♪」
なぜか上機嫌のハナを横目に、私もマフラーを巻きつけてカバンを肩にかけた。
そらと過ごしたクリスマスは何度もある。
でも、彼から誘われたクリスマスは、これが初めてだった。
学校ではなかなか話せないから、とメッセージで言っていた。
だからわざわざ、私のために、時間を作ってくれた。
バイトや家事や勉強で忙しいはずなのに。
それが嬉しくて、でも、苦しい。
期待してしまうんだ。
まだそばにいてもいいのかな、って。
もういっそのこと、突き放してくれればいいのに、なんて思ってしまう私はひねくれ者だ。
そうされたって、私はきっと前に進めないとわかりきっているけれど。
それから週末までの時間がものすごく長く感じた。
表情筋の調節がこんなに難しいことを初めて実感した。
ハナには「愛莉にしてはニヤけてる」と盛大にゆるんだ顔で言われた。
そうして冬休みと同時に、クリスマスがやってきた。



