「近すぎて、盲目なんだ!」
近すぎて、盲目……?
「あまりに近い存在だから、それが当たり前になって、」
「……あたり、まえ……」
「一番大事なものはいつのまにかそらくんの心に浸透して、それで……、見落としがちに、なっちゃうんだ」
「…………」
切ない声色は、藤紫色に見えた。
「一番大切な人ほど、すぐそばに」
ハナではないその低い声も、はっきりと、色を放った。
ドクン、ドクン、と、早打つ心臓が、ひっきりなしに、訴えている。
──『愛莉のそういうとこ好きだなーって、昔から思ってる』
『あんまり勘違いさせないでよっ』
──『愛莉のそういうとこ、好きだよ』
『か、勘違いしそうになるじゃん』
ああ、俺は、なんてことを。
もっとはやくに、気づけていたら。



