……────天高く馬肥ゆる秋。
正門はとびきり華やかに装飾された『文化祭』の看板がアーチになっていて、見物客がわんさか押し寄せる。
そこから生徒玄関まで続く道なりは、屋台や仮装した売り込みたちで賑わっていた。
ハロウィンの時期でもあるから、いろんなところにパンプキンやら魔女やらうろついている。
そう、今日は、待ちに待った文化祭!
快晴という天気にも恵まれ、2日間の文化祭がいよいよ幕を開けたんだ。
「愛莉ーっ、そらくーんっ、早く早く!」
「もうハナったら、そんなに急がなくても」
「だって売り切れちゃうじゃんっ」
「他にもお店いっぱいあるよ」
「ここのがいいの!」
だってこのお店、しょーくんのクラスがやってるんだもん!
『激安タピオカ!150円!』というボードを掲げているのは、しょーくんと同じクラスでよく一緒にいるのを見かける金髪の男の子。
頭にはデビルのカチューシャがついていた。