…違う。

違う。

両手で思わず旬磨先輩の体を押してしまった。

「ごめんなさい、アタシ…。」

「………。」

何も言わなかった。

うつむいているアタシは、今先輩がどんな顔をしているか、わからない。

そしてそっと体の向きを変えた。

変に思われたかな。

気分悪くさせたかな。

アタシから抱き付いたのに、突き飛ばすかたちになって、どう思ったかな。

「…また明日な、万桜。いつでも俺、話し聞いてやるからな…。おやすみ…。」

そのまま先輩は部屋を出た。