お化け屋敷、とデカデカとペイントされた看板の前で、アタシは立ち尽くす。

「いらっしゃい~、って旬磨かよ!?
カップルじゃないと入れないぞ~。」

入口にいる男子がニヤニヤしながら言う。

「問題ないだろ。」

つぶやくような小さな声で、目線をアタシに向ける。

そして、ポケットをゴソゴソして、

「二人分、400円。」

小銭を渡す。

「あの、ホントに困ります!!」

アタシは断固拒否した。

超ニガテなんです…お化け屋敷。

「子供騙しみたいなモンだから、行くぞ。」

「旬磨クン、言ってくれるね~。最近まれに見る怖さだって評判だよ~。
ま、俺達の中だけの評判だけど。で、その子ダレ??」

「入るぞ。」

また彼に手首を掴まれる。