グランドへ向う足が進まない。

万桜がいなかったら…そこはあまりにも淋しすぎるから。

いなかったら…。

今日に限って、旬磨は掃除当番だし。

雨が降りそうで、雲が低いところにある。

何だか特別寒い気もする。

「!!」

笑い声が聞こえた。

万桜の。

足がだんだん早くなる。

―――万桜がいる!!

いつものように、一年と話していた。

安心感と嬉しさが同時に込み上げてきた。