万桜がいない帰り道は寂しかった。

まだマネージャーになって一ヶ月も経ってはいないのに、ずっと前から一緒にいたような感じだった。

また道に迷ってないかな。

「アイツいないと、変な感じだな。」

ヒロも同じ事を考えていたらしい。

「…そ、だな。」

万桜がいるだけで、疲れ切った帰り道も楽しく明るい。

「もう、帰って来たかな。」

俺は呟いた。

寮への角を曲がると、反対側の道路にバスが停まっていた。

バスが走り出すと、ウチの制服を着た女子がいた。

あれ…万桜??

「万桜!!」

反対側の歩道まで聞こえるような大声を出したのは、ヒロだった。

俺達に気付き、車が来ないのを確認し、車道を渡る。

両手にはたくさんの荷物がある。

「お疲れ様です。…もう練習、終りました??」

はぁはぁ言いながら、聞く。