ボーダーライン。Neo【中】


「あなたと一緒だと、あたしは幸せになれないの」

「え?」

「……さっき檜が言ったように、あたし達のした事は間違ってないって。周りを強く言い聞かせても、世間はそうは見てくれない」

「で、でも。そんなのっ。ふたりで学校を辞めてしまえば、関係なくなるんじゃ」

「あたしが教師をしてたって過去はっ。誰にも書き換えられないものっ!」

 あたしはやっぱり卑怯だ。

 これは檜のため、あなたのためだと言い聞かせて、自分の我儘を優先していた。

 どんなに好きだと想っていても、きっとこの先の未来で。

 あたしはあなたの隣りに並べなくなる。

 意を決して振り返り、今まで意識的に作ってきた教師の顔で檜に告げた。

「だから。あたしの事は、もう忘れて下さい」

「……っ!!」

「こんな形で裏切る事を、許してなんて言わない……っ。だけど」

「……」

「……もう。疲れたの」

 驚愕から檜は言葉を失っていた。茶色の瞳は、信じられないものを見たかのように揺らめいていた。