ボーダーライン。Neo【中】


 あたしは握り締めた手を胸に当て、すぐ側の扉から逃げるように外へと飛び出した。

「幸子っ!?」

 背後から呼び止められるが、懸命に足を走らせ、昇降口付近まで駆けた。

「幸子っ、待てよ!」

 あたしは彼の声に応えるよう、ピタリと足を止めた。でも直ぐには振り返れない。

 泣き顔を見られたら、きっと檜の事だ。そのまま抱き締めるに違いない。

 抱き締められたら、あたしは流されてしまう。

 ギュッと拳を握りしめ、嗚咽が漏れそうなのを懸命に耐えた。

 ーー今ここで。言わなくちゃいけない。

 昨日はもう何もかもに嫌気がさして、後ろ向きになっていたけど、今朝はまだ迷いが有った。

 どうにか打開できるかもしれないと小さな希望すら持っていた。

 でも、あたしは言わなくちゃいけない。

 自分の我儘だけを優先するみたいだけど、さっきの状況で上河さんの意見も少しは理解できたから。

「幸子……」

 すぐ側で、檜があたしを呼んだ。

 あたしは震える唇を手で押さえ、振り絞るように声を出した。

「あなたと……」

 言ってからまた呼吸を整える。