ボーダーライン。Neo【中】


 檜の処分が停学だけで済んだのは、本当に有り難かった。

 生徒から多数の支持を集め、極めて影響力が大きいという理由から、退学にするのは懸命で無いと判断したらしい。

 不意に大きなどよめきが起こり、気付いた時には檜が壇上へと上がっていた。

 ーーえっ!? 何で??

 不安と恐怖から胃の痛みは強くなり、あたしは手でお腹を押さえた。

 整列する全校生、壇上の下に立つ教頭先生、壁際の先生方、そして校長先生が一様に息を呑み、檜の行動に唖然としていた。

「……き、きみ、」

 青い顔で横から校長先生が止めるのも気にせず、彼はそのままの声で話し始めた。

「俺は。高校二年の時、担任をしてくれた桜庭先生に特別な感情を持ち、その想いを彼女にぶつけました」

 彼の告白に一瞬にして、館内がざわついた。

 ーー嫌だ、檜っ。やめて……っ。

「だけど大人であり、教師である桜庭先生は……最初、ちっとも相手にしてくれなくて。時にはハッキリと拒絶される事もありました」

 ーーお願い、やめて。

 周りの反応が怖くなり、あたしはぎゅっと目をつぶって俯いた。