檜の処分が停学だけで済んだのは、本当に有り難かった。
生徒から多数の支持を集め、極めて影響力が大きいという理由から、退学にするのは懸命で無いと判断したらしい。
不意に大きなどよめきが起こり、気付いた時には檜が壇上へと上がっていた。
ーーえっ!? 何で??
不安と恐怖から胃の痛みは強くなり、あたしは手でお腹を押さえた。
整列する全校生、壇上の下に立つ教頭先生、壁際の先生方、そして校長先生が一様に息を呑み、檜の行動に唖然としていた。
「……き、きみ、」
青い顔で横から校長先生が止めるのも気にせず、彼はそのままの声で話し始めた。
「俺は。高校二年の時、担任をしてくれた桜庭先生に特別な感情を持ち、その想いを彼女にぶつけました」
彼の告白に一瞬にして、館内がざわついた。
ーー嫌だ、檜っ。やめて……っ。
「だけど大人であり、教師である桜庭先生は……最初、ちっとも相手にしてくれなくて。時にはハッキリと拒絶される事もありました」
ーーお願い、やめて。
周りの反応が怖くなり、あたしはぎゅっと目をつぶって俯いた。



