ボーダーライン。Neo【中】


 あたしは依然として貼り紙を見つめたままで、唇が震え、喉奥から何か込み上げるものを感じた。

「前の噂、やっぱり本当だったんじゃん? 誰だよ、ガセとか言ったのー!」

 次第に視界が滲んでくる。

「淫行・教師っ!」

 騒ぎに乗じて誰かが手を叩き、その空気に同調してコールが始まる。

「淫行・教師っ!」

「淫行・教師っ!」

「淫行・教師っ!」

「淫行・教師っ!」

 ズルズルと膝から崩れ落ち、あたしは床に手を付いた。

 底知れぬ絶望と悲しみに襲われ、とめどなく涙が零れ落ちた。

 生徒の前でこんな証拠を突きつけられ、この先の処分について冷静な考えも浮かばず、ただ流れる涙に任せて虚ろな目で宙空を見ていた。

「何やってるの、あなた達!! 止めなさいっ!!」

 不意に肩に手を置かれ、ビクッと体が跳ね上がる。そのまま腕を引かれて立ち上がった。

「桜庭先生……これは一体??」

 斉藤先生だ。彼女はまだ貼り紙の存在に気付いていないのか、困惑していた。

 しかし、それも束の間。あたしが口を開く間も無く、斉藤先生は掲示板を見て顔を歪めた。

「何よ、これ……」

 呟きと共に不信な目を向けられる。

「上河さんの言ってた、昨日の電話は、まさかこれ??」

 あたしは居た堪れずに無言で俯いた。