窮地から這い上がる為に、自分が教職を辞めれば、とも考えるが、写真を撮られた以上、もうそうする意味もない。
あたしは瞑目して唇を噛んだ。
どんな手段、方法を考えても全ては八方塞がりで、彼女が言うように、単なるあたしの我が儘に思えた。
ーー「キツいかもしれないけど。今後何かあって責められるのはサチなんだよ?」
ーー「あんたのしてる事は背徳行為なのよ? この子が十八になってるから訴えられる事は無くても、教育委員会に行かれたらどうするの、学校に言われたら?? 教師なんて続けられないのよ??」
ーー「好きな人の将来を考えて黙って身を引く。そう難しい事じゃ無いですよね??」
美波、母と続き、上河さんの言葉まで脳裏に蘇り、あたしの中でプツンと何かが切れた。
手から滑り落ちたカップは、ゴトン、と音を立て、たちまちラグを濡らす。
「……もう、疲れたっ」
もう、嫌だ。もう何も考えたくない。
檜の事も……檜の将来の事も。結婚の事も。もう、そんなの。どうでも良いっ!
いっそのこと、教師になる前に戻りたい。圭介と一緒にいたあの頃に戻りたい。
檜となんて、出会わなければ良かった。好きにならなければこんな苦しい想い、しなくて済んだのに。
考えても仕方の無い事を延々と思い、投げやりになっていた。
一人で思い詰めずに、誰かに、例えばカイくんに相談出来ていたら。結果はきっと違っていただろう。



