「はい、先輩!コンポタ!」
「……お前…、いま何月か知ってるか?」
「え?6月です!」
自動販売機から飲み物を手にして走り寄って来るから、気が利くと少しでも思った俺が馬鹿だった。
「コンポタってお前…」
6月だぞ、今。
これから暑くなる季節だぞ。
今でさえ蒸し暑いってのに。
確かにこの時期にコンポタがあるのもどうかと思ったけど。
買う馬鹿はいねぇだろ…。
あぁ、ここにいたのか。
「じゃあこっちのおしることどっちが良いですか?」
「季節感ズレすぎだろ。お前は万年真冬かよ」
お礼です、なんて差し出されてしまえば受け取らざるを得ない。
毎日毎日俺に声をかけてきて、最初は面倒な熱血馬鹿だと思っていたが。
それでも俺を怖がらずに接してくれるのはこいつだけだった。
「……甘ったりぃ…」
「あははっ、この季節に温かいのもなかなか“おつ”ですよね先輩!」
「汗かいた上に汗。サウナにいる気分」
俺は悩みに悩んだ末、おしるこを取った。
コンポタを選ぼうとしたけど、少しもの寂しそうな顔をされては。
…そもそもお前の奢りだし。



