それにしても先輩には謎が多すぎる。
あの人のことは知ってるつもりだったけど、やっぱりぜんぜん知らない。
驚きが凄まじくて痛みはどこかへ消えてしまった。
体育祭…やっぱり先輩は出ないのかな。
出れないのかな。
本当はその立場は私なのに。
「どうしてそんな噂があるんだろう…」
そこまでチャラいわけでもない。
髪の毛は明るい栗色なブラウンだけど、制服だって着崩してるわけでもないし、刺青とかもしてない。
してるとすれば、左耳にシンプルなデザインのシルバーピアスがひとつ。
それにアッキーだって。
黒髪だし、一見すると普通の高校生だ。
「誰かを負かせる強さってのは、恨みや憎しみからしか来ないんだよ」
そう言った彼も何かを抱えているみたいだった。
握った拳は震えている。
恨みや憎しみ、それが強さになると。
だけどその強さは本当の強さなんかじゃないって、私は思った。
「秋斗くん、やっぱり俺と友達になろうよ!」
「…トモダチとオンナは信用してないんだよね。これは確実」
ヒラヒラと去って行く背中。
やっぱりまだ駄目みたいだけど、この人はそこまで悪い人じゃないとも思う。
ちゃんと自分をわかってる人。
だから先輩もアッキーも、他の不良とは違う気がする。
トモダチって、難しいなあ。



