生チョコ、トリュフ、ガトーショコラ、クッキー、チョコチップ入りのカップケーキ……。
見てるだけで酔ってきた…。
わざわざ町の本屋さんまで出向いて購入した雑誌。
同じページを見ては、うーんと悩んで。
2月───。
そんな季節になれば、そのためだけに用意されたんじゃないの?って思うほどに学校中カップルだらけ。
…田舎って意外とやりおる。
なぁんて、私も似たようなものだ。
「で、結局決まったの?」
「…普通の型抜きチョコにしようかなって」
「うわ、諦めてるし。廣瀬さんって大人な感じがするから、ビターな生チョコとかが無難じゃない?」
ううん、ちがうの凛。
あの人ってわりと甘党だから、紅茶には砂糖すっごくたくさん入れるんだよ。
『じゃあ俺ん家泊まる?』
「え…っ!?」
卵焼きが喉に詰まりそうになった。
すぐにお茶を飲んで、なんとか事なきを得たけど…。
画面の向こうでは「大丈夫ー?」なんて笑っている秋斗くんの背中、見慣れたフェンス。
…誰かを探すように見つめては、首を横に振った。



