俺って本当に小心者だ。

もう俺たちの前には現れるなよって、言うつもりだったのに。

ほら、俺って優しいからさ。


あんなにも弱ってる馬鹿を前にしたら、言えるわけないじゃん。



「───あ。」


「こ、こんにちは…、」


「あんたもお見舞い?」



遠慮がちにお辞儀をするメガネ。

俺の大嫌いなオンナは、見るだけで虫酸が走る。


どんな気持ちでここにいるの?

どんな気持ちであのときあの子に、「お久しぶりです」なんて言ったの?



「あんたのそれって、なんの情?」


「え…?」


「藤城サンはあんたを見てないよ。それはこの先もずっと」



もし本当に藤城サンがこのオンナのことを好きになって、彼女なんかにしたら。

俺は迷わずあいつを殴る。



「そんなの…わからないじゃないですか、」


「…俺たちには無理だよ。それと、今後またあの2人に何かしたら……俺はオンナだとしても容赦しないから」



なんだよ、青葉を頼むって。
そんなの最初からそのつもりだよ。

でも俺だってあんたには居なくなって欲しくない。


あんたに死なれて悲しむのって、悔しいけど青葉ちゃんだけじゃないんだよ。