「でもひとつだけいい?」



ピロンッと、届いたメッセージ。

すぐに開けば、“秋斗くん!今日は夕日が綺麗だよ!”なんて内容と一緒にその写真。


“顔写真つきもよろしく、青葉ちゃん”と、返信。



「やっぱあのオンナはないよ藤城サン。趣味わるすぎ」


「…生憎、俺の趣味はお前と一緒だ」



そして再び返信がきて、夕日の写真と一緒に自撮りしている女の子。

そんなものを見て吹き出してしまった。



「…ほんと、そーいうとこだよ」



ブッレブレ。

なに、夕日のなか走ったの?
ふつー走りながら写真って撮る?


ベッドで上半身を起こす男の前に、そのメールを見せてみた。



「───…よかった…、」



泣きそうな顔をして、噛み締めるようにつぶやいた藤城サン。


喜んでんの、それ。

あんた、今まででいちばん優しい顔してんだけど。



「かわいいでしょ、俺のカノジョ」


「…腹立つけどな」



柔らかく笑いあって、俺は病室を出る。

ちょうどのタイミングでかかってきた電話。



「青葉ちゃん。ブレまくりの写真ありがとう」


『え!ブレてた!?ちゃんと撮ったつもりなんだけど…!』


「…俺、青葉ちゃんのそーいうとこ大好き」