涼しい風が吹くグラウンドにて、ジャージ姿は私だけ。
クラスメイトたちは着崩した制服を腕捲りして走る。
ひとつのボールを追いかけるだけなのに。
「てめーこの野郎!!殺されてぇのか!!」
「やれるもんならやってみろよビビりが!」
どうして鈍い音が響くのか。
血だらけで倒れている男までも。
今はサッカーの練習中ですよ?
あと1週間で体育祭ですよ?
「なーんで喧嘩になっちゃうかなぁ。…単細胞ってこのことだよ」
「ぁ”あ”!?なんか言ったか小鳥遊!!」
「な、なんでもない!続けて!!」
クラスマッチのサッカー練習。
私は個別に出場する騎馬戦の練習もしなくちゃなのに…。
いちばんちっこいからといって、騎馬戦に抜擢されてしまって。
正直、不安しかない。
「おーいチビ。ボール行ったよー」
「…え。」
バコンッ───!!!
遠くから飛んできたボールが、見事に私の顔へとクリーンヒット。
「顔面キャッチ?なかなかやるね」
笑ったのは、廣瀬 秋斗。
こんなんで本当に大丈夫なの。
体育祭なんか血祭りにしかならない気もする。
どうやらそれはあながち間違ってはいないらしい。



