「そ、そうです!良かったら先輩のぶんも作ってもらうよう頼みますけど…!」
「いらねぇよ」と鼻で笑った先輩は、なぜか私の顔をじっと見つめてくる。
どの角度から見ても整ってる人間って存在するんだ…。
ハーフ…よりは少し薄いから、クォーターとかそんな感じ…?
「…その妹は昔、病気だったりしたか」
ポロッと、今度は卵焼きがフォークからお弁当箱のなかへ落ちた。
ドクドクドクと心臓が鳴る。
あなたの心臓も入ってる、それ。
「…俺は、妹とはあまり関わってないからよく知らなくて。だから…」
「ならいい。たぶん俺の勘違いだ」
ちがう、勘違いなんかじゃない。
この人はきっとぜんぶを知ってる。
かつて自分が何をされたのかも。
だけど、今の私のことは知らない。
「ただ、」
付け足すように、先輩は立ち上がった。
「…その妹と俺をぜったい会わせるなよ」
やっぱりビンゴだ。
交わってはいけないんだ、私たちは。
先輩、目の前にいるんです。
あなたが憎くて憎くて仕方ない恨みの対象が。
ここにいるんですよ───。



