こんなの誰かに対する罪滅ぼしのようなものだ。
あんなにひどい言葉を言って、一方的にあいつを責めて。
病気のことなんか何ひとつ知らずに、あいつだって今までたくさん辛い思いをしてたってのに。
「理久は本当は誰よりも頑張り屋さんで寂しがり屋さん。
それはおばあちゃんが一番に知ってるわ」
だから理解をすれば、あいつを救えるんじゃないかって思った。
俺も自分を許せるんじゃないかって。
そして俺とあいつを救えるんじゃないかって。
だから俺は医者になりたいと、いつからか思っていた。
「ばあちゃん…、俺、最低なんだ…、自分を許せなくて、そいつも許せなくて……っ、もうぜんぶ手遅れになった…っ、」
ずっと我慢していたものが、祖母の優しさに触れて床に落ちた。
すぐに手を止めて俺の背中を撫でてくれる。
「あんなこと言いたくなかった…っ、本当は、俺は、あいつにまた会えて嬉しかったんだ……、
なぁばあちゃん、俺どうしたらいいのか分からないんだよ……っ、」
誰からも避けられる中で、誰とも関わりを持たない中で、あいつだけは昔と何も変わらなかった。
俺が好きだった笑顔でいつも笑いかけてくれた。



